魔術、UFO、ホモセクシャル、フェティッシュ、呪術的イメージの万華鏡! 映像作家ケネス・アンガーの『マジック・ランタン・サイクル』HDリマスター復活!

 コロナ禍の長引く自粛生活にあって、世界的にカルチャーの弱体化が危惧される。そんな憂鬱な状況を吹き飛ばすように、ダークでオカルティックな映像の魔術師ケネス・アンガーの傑作選『マジック・ランタン・サイクル』がHDリマスターで復活することとなった。

 1927年生まれのケネス・アンガーは、カリフォルニアで生まれ育ち、ハリウッドで祖母が衣装担当をしていたことから若くして映画を撮り始め、1947年の『花火』では、ジャン・コクトーやテネシー・ウィリアムズから絶賛されたという。前衛的かつ実験的でセリフのない作風だが、めくるめく魔術的で謎解きに満ちたイメージが連鎖する手法で、のちの映像表現に絶大な影響を及ぼしている。そればかりか、映像に登場する数々のファッションやアイティムは当時のアンダーグラウンド・カルチャーの様子を現代に伝えるもので、その映像は時代を越えて魔術的なオーラを放ち続けている。

 今回、HDリマスターで蘇った『マジック・ランタン・サイクル』は、アンガーが1947年から1980年までの間に製作してきた映像作品から代表的な9本をまとめた集大成である。劇場公開では、現代の魔術師アレスター・クロウリーから影響が色濃い傑作『ルシファー・ライジング』を始め、魔術的なモチーフを特徴とする作品を集めたAプログラムと、革ジャンとバイク、ホモセクシャルを連想させるイメージにあふれた『スコピオ・ライジング』をメインとするフェティッシュなモチーフに溢れるBプログラムからなる。両プログラムを通して、現代のミュージック・ビデオやコマーシャル・フィルムの元祖と呼ばれ、映像表現の先駆者として君臨するアンガーの全貌を体感して欲しい。

 すでに90歳を越えるアンガーだが、2019年には、彼本人がGUCCIのモデルに起用されている。光とサウンドの魔術儀式「Technicolor Skull」の活動、ヴァレンティノのショーやミッソーニのキャンペーンへの映像提供なども行っており、アンガーの魔術的な映像世界はネットやSNSの時代になっても再度脚光を浴びている。

 ここでは、プログラム順に映像作品の見どころと知っておきたい背景を紹介しておきたい。

 今回のリマスター上映において、懐かしくも新鮮な驚きを与えてくれるのは、何と言ってもアンガーの最高傑作『ルシファー・ライジング』(1980)である。

「マジック・ランタン・サイクル」より「ルシファー・ライジング」

 冒頭からのサイケデリックなギターサウンド、オープニング・タイトルは『2001年宇宙の旅』のSFXを担当したウォーリー・ヴィーヴァーズが手がけている。古代エジプト神話の豊穣の女神イシスが現れ、命の鍵アンクを取り、彼女の配偶者である死神オシリスと交信を繰り返す。ここまでで誰もがアンガーの魔法に引き込まれていくことだろう。

「マジック・ランタン・サイクル」より「ルシファー・ライジング」

 おもむろにベットで目覚めるのは、現代の魔術師であるサイケ衣装のロックミュージシャンである。彼は、魔術の儀式を執り行うことでマリアンヌ・フェイスフル演じる女性の悪霊リリスと堕天使ルシファーを目覚めさせることとなる。

魔術、UFO、ホモセクシャル、フェティッシュ、呪術的イメージの万華鏡! 映像作家ケネス・アンガーの『マジック・ランタン・サイクル』HDリマスター復活!のページです。などの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル