アイヌ発言は「放送禁止用語をTVが徹底的に排除した結果、まわり回って新しい言葉になって戻ってきた」

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画像は「日本テレビ」より引用


 テレビ番組の不体裁や不祥事によって局アナが謝罪することは多々ある。しかし、日本政府までもが注意するレベルの問題に発展したのが日本テレビ「スッキリ」アイヌ民族に対する差別発言だ。

 近年のテレビ史の中で最大レベルの不祥事と言われるが、現場関係者に聞くとこの件の裏側にはテレビが抱える大きな問題があることがわかった。

「今回の問題は生放送番組とはいえ、問題のシーンはVTR収録されたものですから言い逃れできません。日本テレビが全面的に責任を負うこととなります。この件は業界内でも大きな話題になりましたが、同時にわかってきたのが、アイヌを「あ、犬」と表現したのは本当に偶然で、過去の差別問題を出演者も現場スタッフも知らなかったということなんです」(テレビ局関係者)

 知らなかったとは一体どういうことなのか。

「犬になぞらえた差別があったことを知らなかったということです。ダジャレを考えた結果、たまたまここに行きついたわけです。また、今回の件を受けて他局も含めた各番組の会議で改めて放送上注意が必要なワードに関して注意が喚起されたんですが、そこで若いスタッフがアイヌ民族のことをほとんど知らないまま番組制作をしていたことが判明しました」(同)

 教科書にも掲載されるアイヌ民族やその歴史を知らないとは驚きだが、そこにはひとつの事情があるという。

「テレビにはいわゆる『放送禁止用語』があります。正しくは放送注意用語なんですが、何十年も前から規制されている用語ばかりです。そのため、これらは家庭でテレビをつけっぱなしにしていても耳にしない言葉なので、若い世代が育ってきた環境の中で聞き馴染みがないんです。そんな世代が今はテレビの現場で作家やディレクターとして活躍しているので、そもそも注意しなければならない用語だという認識も皆無なんです」(同)

 育ってきた環境の中になかった言葉だからこそ、その言葉の存在さえ知らない若い世代が増え、注意する意識も皆無だという。

「アイヌ以外でも『キチガイ』や『部落』、『ビッコ』や『つんぼ』なども知らないスタッフが増えています。こうした言葉をどこかで聞きつけて、新しい言葉として認識し、若い作家が台本上に書いてしまうケースもあるんです」(同)

 台本に入れてしまうとは驚きだが、初めて聞いた言葉ゆえに斬新なワードとして認識してしまうようだ。

「もちろん、その場で注意しますし、説明もするんですが、放送注意用語は何万個もありますので全てをあらかじめ教えるのは難しいんです。そのため、台本や原稿を確認しながら問題がないか中高年のスタッフが確認していますが、テレビがこうした言葉を完全に排除した弊害とも言われています」(同)

 使ってはいけない言葉として徹底的に排除した結果、まわり回って新しい言葉になってしまい、そのブーメランがテレビ業界に戻ってきたようだ。難しい話だが、このような背景があるのであれば今回のアイヌ問題も悪気や悪意はなく、純粋に向き合ってしまった結果だと言われても理解できる部分はある。無論、差別は絶対にダメなのは言うまでもないが。

文=吉沢ひかる

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