開催中の「美術ヴァギナ」展がヤバい! 萎縮した日本社会を性表現で揺さぶる現代美術家・岡本光博が仕掛ける、ろくでなし子の3Dアート、ブラジリアンワックスのリアルな毛…

 京都を拠点に著作権や表現規制といったタブーに挑み続ける現代美術家・岡本光博が、またもや物議を醸す展示会「美術ヴァギナ」展を開催中(京都 KUNST ARZTにて、5月9日まで)である。

岡本光博氏、自作の《処女航海》(2017)(右)とともに。


 岡本光博といえば、有名ブランドLV社のモノグラム柄生地をバッタの形に仕上げて展示不可などの騒動に発展した作品《バッタもん》(2010)、N社のカップ焼そばを連想させる巨大なオブジェを飛行物体の落下現場のように展示した作品《未確認墜落物体 UFO Unidentified Falling Object》(2015)などでよく知られる。岡本の作品は、どれもユーモラスで親しみやすいものだが、同時に現実社会を痛烈に皮肉っ た危険な要素も大いに含んでいるのが特徴だ。

 さらに、2019年のあいちトリエンナーレでは政治家や大手メディアまで巻き込んで大きな論争となった「表現の不自由展・その後」においても、沖縄・うるま市の「イチハナリ・アート・プロジェクト+3」で展示拒否された作品《落米のおそれあり》(2017)で参加しており、岡本は現代美術における表現規制の最前線に常に挑んできた。

「不自由展の騒動に巻き込まれましたけど、あの展示は最初から性的なものは排除していたそうです。不自由展はとても挑戦的な投げかけではあったけれど、正直違和感も感じてはいました」

 そう、岡本は語る。確かに「表現の不自由展・その後」では性的なテーマは全く取り扱われていなかった。また、岡本は「美術ヴァギナ」に先行して、2013年に「美術ペニス」というグループ展を開催しており、今回の展示はそれと対をなすものでもあるという。

「8年前に美術ペニスをやったときから、もう片方をテーマにしたものもやるべきだと思っていました。ろくでなし子さんに出品してもらえるならぜひやりたいと思っていたんですが、昨年、彼女が日本に帰ってきていたこともあって、一気に動き出した感じですね」

 ろくでなし子は、昨年7月、筆者がキュレーションしたグループ展「死とSEX」(新宿眼科画廊)にも参加してもらったが、そのことが今回の「美術ヴァギナ」開催につながったのならば、嬉しい限りだ。

ろくでなし子《3D まんこドール(まんこちゃん、なしこ、ピーポくん、けいさつ4種)》2020

 ご存知の通り、ろくでなし子は、2014年7月に自分の女性器の3Dデータをクラウドファンディングの支援者に頒布したところ、わいせつ物と認定されて逮捕された。同年12月、都内アダルトショップで、自分のまんこをかたどった石こうに着色や装飾を施した作品「デコまん」を展示し、猥褻物陳列罪を問われて2度目の逮捕となった。デコまんに関しては、東京高裁での二審で無罪となったが、3Dデータの配布については、昨年7月16日、最高裁で「わいせつ電磁記録頒布」の有罪判決が確定した。

ろくでなし子《Big3D まんこちゃん》2020

 今回の展示では、有罪判決を受けた3Dデータを使用した新作、無罪確定後に裁判所から返却されたデコまん3点を還付通知書とともに展示している。デコまん3点は「このエアキャップは証拠品にあらず」のシールが貼られたエアキャップの上に並べられることで、表現規制を巡って当局と闘った証としての存在感を増していた。

ろくでなし子の作品群。東京地方裁判所の書類を含む、《押収されたデコまん3点》2021 も「このエアキャップは証拠品にあらず」のシールが貼られたエアキャップとともに展示された。

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