開催中の「美術ヴァギナ」展がヤバい! 萎縮した日本社会を性表現で揺さぶる現代美術家・岡本光博が仕掛ける、ろくでなし子の3Dアート、ブラジリアンワックスのリアルな毛…

 宮川ひかるは、プロのネイルストとしても活躍しており、爪上に様々な立体造型を可能にするジェルネイルの技術を駆使して、多数のマンネイルのサンプルチップを発表した。それらは実際に人間の爪に装着できるものだ。さらに、ギャラリー内でブラジリアンワックスによる女性のVIO(デリケートゾーン)脱毛のワークショップを行い、そこで採取したワックスを花びらに見立てて、作品化している。花びらの繊細な凹凸はすべてリアルなヴァギナの形状を写し取ったもので、そのことは花びらに付着した陰毛からもよくわかる。ブラジルでは、サンバとワックスが結びついていて、毛の処理が文化の違いを映し出している点も鑑賞のポイントだろう。毛に着目した点については、本展に出品されている、女性のアンダーヘアを入れることで完成する岡本の作品《まんげ鏡》にも通じている。

宮川ひかる《マンネイルサンプルチップ》2021
宮川ひかる《VIO アレンジメント》2021

 荒川朋子は、水晶や貝、毛をモチーフに日本の古来からあるシャーマニックな拝む対象としての女性器を想起させる作品を発表しており、「直感で閃いたことを形にできる人、作品はどれも霊気を帯びていて、スピリチュアルなものを感じさせてくれます」と岡本も絶賛する。

荒川朋子《ふさふさ》2014
荒川朋子《おもいいし》2014

 山里奈津実は、アダルトグッズTengaの断面図を掛け軸にし、男性を天国を導く行為として、X染色体とY染色体を表す赤白の2色にした。また、金の額は、精子と卵子が受精した瞬間に発光するという生命の誕生の神秘を象徴し、主題となるイスラム圏の文様は女性器のようにも見える。彼女は日本画材の研究者として博士課程に在籍し、出産や生命の誕生をテーマに宗教的なアイコンや現代的なイメージを気品ある作品に仕上げている。

山里奈津実《No.23 y》2020
山里奈津実《Patterns》 2016

 本展には、前述した《まんげ鏡》に加え、《処女航海》など、岡本自身の作品も並んでいる。4人の女性作家に男性作家がキュレーターとしても関わったことで、ウェットになりがちなテーマをポップでミニマルな展示としてまとめている。

岡本光博《まんげ鏡》1999

「性的なテーマについて、世界的には、ポール・マッカシー、ジェフ・クーンズ、ルイーズ・ブルジョワら有名な作家たちがやり切っています。それに比べると、日本の現代美術は萎縮していて、素直じゃないんです。エロと片付けるのではなく、人間の大切な欲求のひとつですから、身体的な表現として自然に堂々と露呈していっていい。そんな気持ちを投げかけられたらいいなと思います」

 そう熱く語る岡本だが、スケベ心やサービス精神を忘れず、気さくに応じてくれる。そんなオープンマインドな態度が作家ばかりか、鑑賞者も自由な気分にしてくれると思うのだ。

 ネット時代にあって、世の中はどんどん自由になるはずだったが、一方で他人の目を気にして、ぎこちない不自由さを感じることも多くなっている。もともと女性器とは、自分たちが生まれ出てきた場所でもある。性器そのものがタブーになってしまった日本の歪んだ状況をリセットするためにも、もう一度、自分たちのスタート地点に立ち返って、生きる自由を取り戻したいものである。コロナ禍の緊急事態宣言下にあって、ますますそんな想いは募る一方だ。ぜひともヴァギナのポジティブなパワーを感じて欲しい。

「美術ヴァギナ」の展示風景

【展示情報】

美術ヴァギナ Bijyutsu VAGINA
2021年4月23日(金) ~ 5月9日(日)
KUNST ARZT
京都市東山区三条神宮道北東角2F
開館時間:12:00~18:00
休廊日:月休み
公式HP http://kunstarzt.com

荒川 朋子 / ARAKAWA Tomoko
岡本 光博 / OKAMOTO Mitsuhiro
宮川 ひかる / MIYAKAWA Hikaru
山里 奈津実 / YAMASATO Natsumi
ろくでなし子 / ROKUDENASHIKO

※緊急事態宣言中ではありますが、 新型コロナウイルス感染対策を行った上で、展覧会を開催しております。

 

文・写真=ケロッピー前田

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ) 

1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は地上波の人気テレビ番組でも取り上げられ話題となる。著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。新刊本『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)絶賛発売中!

公式twitter:@keroppymaeda

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