「1人でも多くの女性とセックスする」余命宣告を受けた小人による60時間ハメ撮りの映画化!“差別と性と死と青春”が詰まった『愛について語るときにイケダの語ること』インタビュー

 6月25日から東京・吉祥寺のアップリンクで、一風変わった恋愛青春ドキュメンタリー(?)が公開される。

愛について語るときにイケダの語ることというタイトルのこの映画は、四肢軟骨形成症(いわゆる小人症の1つ)という障がいを持つ身長112cmのイケダ(池田英彦監督)が、スキルス性胃がんで余命宣告を受けたことをきっかけに自身の欲望に向き合い、死を迎えるまで本当にやりたいことを遂行していく姿を描いた、最初で最後の池田英彦作品だ。

 その「本当にやりたいこと」とは「1人でも多くの女性とセックスする」こと。そして、その様子を記録した映画を作り公開することだった。

 イケダの死後、60時間にわたるハメ撮りとそこに関わった女性たちとの映像を託された、20年来の親友であり、テレビドラマの『相棒』や映画『デスノート Light up the New world』を担当した脚本家・真野勝成と、虚実を取り混ぜることで一般に健常者が抱きがちな障がい者観を打ち砕いた『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』『ナイトクルージング』を監督した映像作家・佐々木誠が共同プロデューサーを務めている。

 映画ができるまでの経緯や制作の裏側、そして、自身のセックスを映画化し公開することを切望した「イケダ」こと池田英彦監督の思いについて2人に話を聞いた。

「1人でも多くの女性とセックスする」余命宣告を受けた小人による60時間ハメ撮りの映画化!差別と性と死と青春が詰まった『愛について語るときにイケダの語ること』インタビューの画像1
© 2021 愛について語るときにイケダの語ること


■「死ぬまでたくさんセックスしたい」という親友の願いに寄り添う

ーー映画を作ることになった発端は?

真野:そもそも僕とイケダは大学生の時から20年来の友達で、神奈川に住んでいる彼から「今東京にいるんだけど話したいことがあるから会えない?」って電話が掛かってきて学芸大学前の喫茶店で会ったんです。そこで「スキルス性胃がんのステージ4だって言われちゃった。まいったよ」って告白されたんです。

 その時イケダが東京にいたのは、死ぬ前にやり残しがないようにと関西の風俗店にたくさん行った後に錦糸町の女の子の家を訪れた帰りだったみたいなんですよ。「がんのことを話したら『最後にエッチさせてあげるよ』って言われてしてきたんだ」って。それから「やりたいことやるのに付き沿ってくれる人が必要で、真野くんしかいないと思った。このあとハプニングバーに行かない?」って言われて、それが始まりでした。

 医者には「何もしなければ2カ月で死にます」って言われたみたいなんです。そこから治療方針を決めかねている数か月間、病院に通いつつ風俗や出会い系サイトで遊んでいた時に、イケダが急に撮影を始めたんです。僕は付き添いで、イケダが遊んでる間は待っている感じだったんですけれど、そのうちどちらともなく「どうせなら映画にしない?」という話になった。そこから、彼がハメ撮りをする一方で、僕がインタビューやその他のパートを撮り始めた感じです。

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ーー佐々木さんとイケダさんが初めて会ったのはいつですか?

佐々木:6年前、僕の『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』を上映していた渋谷のアップリンクです。真野さんと会ったのもその時が初めてで、それまでまったく面識はありませんでした。

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ーーなぜ佐々木さんの映画を観に?

真野:撮り始めてから1年くらいの時に漫画家の巻来功士先生から「参考になるんじゃない? 僕もトークゲストで出るから来れば?」って誘われて。イケダに話をすると「これヤバイ。僕らがやろうとしていることを先にやられている可能性がある」って思って観に行ったんです。

ーーイケダさんに対する佐々木さんの第一印象はどうでした?

佐々木:トークの間、客席でずっと楽しそうに笑ってる人がいて、それがイケダさんでした。今思うと不思議で、あの日はイケダさんだけがはっきりと見えていた。巻来先生から小人症の人が来ることは聞いていたけれど見つからなくて。で、トークが終わって立ち上がったのに座ってる時と身長がほとんど変わらなかった。それで、この人がイケダさんなんだって。

ーーどうして佐々木さんに編集と共同プロデューサーのオファーを? 

真野:イケダの死後に僕と佐々木さんがすごく仲良くなって、佐々木さんも映画のことを気に掛けてくれていた。そんななかで、佐々木さんへの信頼が生まれてきて、佐々木さんしかいないと思ったんです。

佐々木:言い切りますけど、編集は僕しかできないと思いました。

ーーそれはなぜですか?

佐々木:「マイノリティ」「セックス」「死」っていう、それまでやってきたテーマが入っていたから。それと、公私ともに真野さんと映画についての考え方が似ているというのもありますし、同世代の真野さんとイケダさんの関係性が『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』での僕と門間さんとの関係と近いと感じていたこともある。虚実皮膜な劇中劇の素材もある。それらを総合すると、一番いい形に編集できるのは僕だと客観的に思いました。

 それに、僕の関わる映画って、ある意味、本編以上に背景が面白いんですよ。障がいを持って生きていたイケダさんが、自分が死ぬことをわかったうえでハメ撮りしまくった映像を映画にすること、いろんな偶然が重なり真野さんと僕が引き継いで完成させること自体が面白い。それを、イケダさんの意思を汲み取って、あらゆる責任も含めて受け入れて面白い映画にできるのは自分しかいないと思ったんです。

真野:佐々木さんの作品はまったく見ていない状態で撮影を始めていたのに、編集した映像を観たら完全に佐々木さんの映画みたいになっていた。疑似恋愛のパートは、映画を撮ることを利用してイケダが普段なら相手にしてもらえないような可愛い娘とデートできればいい、くらいの軽いノリでやっていたのに、虚実皮膜っていう佐々木さんのテーマにガッチリ合っていてびっくりしました。

ーー実際の制作で苦労した部分はありましたか?

真野:映画として公開できるかわからなかったというのはありました。「セックスの部分は絶対に使え」ってイケダは言っていて、変な話だけどそこはウリになる。でも、ある意味見せ物でもありますからね。

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