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その数1000竿超 !!? ちんこ型の石を集め、勃て続ける美術家・久保田弘成インタビュー

2021.07.29 16:00

根石

　ちんこ型の石を収集し、作品化して発表し続けている美術家がいる。久保田弘成さんだ。自動車や漁船を廻すという突拍子もないパフォーマンス「スピニング」によって国内外で物議を醸してきたことから、ご存じの読者もいるかもしれない。

　久保田さんが現在、前精力を注いでいるプロジェクトが「根石」である。これまで収集した根石の数はおよそ1,000竿（？）。すでに作品化されたものだけでも800を下らない。それらの作品は久保田さん自身がDIYで建てた「根石院」に収蔵されている。

　なぜ、久保田さんは「根石」プロジェクトを始めたのか？　根石を通して何を見つめ、何を表現しようとしているのか？　話を聞いた。その根底には、久保田さんの出自との意外な繋がりがあった。　

■自然のエナジー、生命を感じさせる根石

ーー久保田さんが収集している「根石」とは、一見するとペニス型の石のことかと思うのですが、そもそも根石とはどんな石を指すのですか？

久保田：基本的に人間が加工していない自然石。人が手を加えていない、たとえば河原に落ちていて、生命力を感じさせてくれるような石です。

ーー自然の作用でペニスの形になった石、というのが基本だと思うのですが、その前提として、生命力を感じさせることが重要なファクターであると。

久保田：そうですね。最初は勃起状態の男根をイメージさせる石を目指していたけれど、集めていくうちに、必ずしも勃起していなくてもいいと考えるようになってきました、どろんと萎えた状態のものでもいい。横向きで半立ち以下のものや下を向いたものも生命のある状態であって、なにもギンギンに勃っているものばかりが生きているわけじゃない。僕はもともと彫刻をやっていたんですが、彫刻も筋骨隆々のものばかりではないですよね。萎えた状態の像もある。

ーー男性器を模した石というと、子孫繁栄を象徴する、いわゆる陰陽石がありますよね。そういう石はたいてい生命感がみなぎり天を突くような、これからガンガン子供を作ります、というようなイメージのものが中心です。根石はそれとは一線を画していると。

久保田：そうです。もちろん形で見てはいるのですが、自分のイメージする生命力を発している石が根石です。たとえば、石のスパッと切れた割れ肌には勢いを感じますよね。そういうパワーがストレートに出ている石とか、柔らかく滑らかな石。睾丸のようなものが付いていて、下に溜まったエネルギーが上へと伸びようとしている形の石といったような、生命のイメージを引き出すヒントになるような石です。