【閲読注意!】肛門から空気を入れる人間風船より怖い「ジェット浣腸」の恐怖! 膣と肛門に毎秒5リットル…亜留間次郎が解説

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】

■人間風船

 ニュースで大きく取り上げられたせいで、肛門から空気を入れると死ぬと思われがちですが、圧搾空気による腸管穿孔の多くは予後良好であり、普通は死にません。過去の論文を調べてみたところ、国内と海外合わせて25人中1人が死亡していますから、死亡率は4%というところです。

 コンプレッサーで圧縮空気を浣腸した最初の症例報告は明治37年(1904年)にランセットに掲載されたものらしく、圧縮空気が工事現場で使われるようになったばかりの年代でロンドンの建設現場で作業員がやらかしたそうなので現代と全く同じです。

 コンプレッサーが一般作業員でも使えるようになるとすぐに尻に入れたようで、その後も現代日本まで、愚かな人類はコンプレッサーによる空気浣腸を繰り返しているようです。

当時のコンプレッサーの写真。画像は「Wikimedia Commons」より引用

 尻の穴にコンプレッサーで空気を入れられた人が死んだのは、腸に穴が開いたからではなく、横隔膜に穴が開いて胸の中が空気で一杯になってしまい、肺が膨らまなくなって呼吸が出来ず、窒息したからです。

 どうして尻の穴から肺に? と思うでしょうけど、尻の穴から高圧空気を入れ続けると胴体の中が空気で一杯になって、人間風船になって死ぬのです。

 まず肛門から入った空気は大腸を風船のように膨らませます、ここで腸に穴が開かなければお腹が痛くなるだけで済み、入った空気はオナラとして出てしまいます。

 限界まで大腸が膨らむと、まるで風船が破裂するように穴が開き、お腹の中に空気が充満して風船のようにお腹が膨らみます。穴が開く場所は直腸よりも上のS状結腸が最も多く、次が直腸で横行結腸が続きます。面白い事にどの症例でも肛門から垂直に上の部分で穴が開いています。

画像は「Wikimedia Common」より。筆者が加筆。

 お腹の中が空気でいっぱいになると自然には抜けなくなり、膨らんだお腹は痛くなります。レントゲンやCTを撮ると内臓が圧迫され、潰れてしまいお腹の中が空気で一杯になっています。画像の黒いところは全て空気で、下に押しつぶされて小さくなっているのが腸などの内臓です。こうなると完全に人間風船状態で、開腹手術して腸の破れた部分を修復して空気を抜くしかありません。

内臓が圧縮空気で押しつぶされたレントゲン写真
内臓が押しつぶされたCT画像、上から胸の横隔膜の下、お腹の中、腰の中。画像は「Pubmed」より引用

 意外にも、ここまで人間風船になってもすぐには死なないので、手術すれば治ります。

 病院に来るのも人間風船になってから何時間も経ってからが多く、仕事中にやって、夜になってから「お腹が痛い」と我慢できなくなって病院に来る人も珍しくありません。

 有名な死亡事故は、さらに空気が入って横隔膜に穴が開いて胸の中まで空気が入り込んで、一瞬にして気胸の中で最も重症な「Ⅲ度:完全虚脱」の状態になり、呼吸が出来なくなって死にました。この段階まで進むと心肺停止してしまい、心臓マッサージをしてもどうにもならず即死ですが、ここまで行かなければ死ぬことは無く、肺まで行かなければ後遺症もなく予後良好と言われます。

 この状態で救命する方法があるとすれば、気胸の治療を行うしかありません。胸に太い注射針を刺して空気を抜くしかありませんが、医師がその場にいても救命出来る可能性は低いと思います。

 大腸の中のウンコがお腹の中に散らばって感染症になる可能性もありますが、腸に空いた穴は数センチ程度で、しかも穴が開くと腸の内部よりもお腹の中の空気圧が高くなり、腸の中身はあまり漏れ出しません。症例報告を見た限りでは、深刻な感染症は起こしていません。

 ちなみに、直腸やS状結腸に穴が開いてしまった場合はウンコが出来ないので、一時的な人工肛門を作り、穴が塞がるまでしばらくの間お腹の穴からウンコをする事になります。

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