「千鳥やかまいたちも一昔前だったらもっと…」究極のお笑い小説『ワラグル』著者が語る、お笑いの過去と未来

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『ワラグル』(小学館)

『22年目の告白-私が殺人犯です-』『AI崩壊』などの作品で知られる作家の浜口倫太郎氏の最新作『ワラグル』(小学館)が7月14日に刊行される。

 この作品の舞台はお笑い業界。『KING OF MANZAI(KOM)』という漫才の大会に挑む若手芸人たちの苦闘を描いている。

 浜口氏はもともと大阪で放送作家として活動しており、数々の番組を手がけてきた。その経験を生かしたリアリティのある描写が楽しめる作品となっている。

『ワラグル』の刊行を記念して、浜口氏とお笑い評論家のラリー遠田の対談が行われた。ラリーは浜口氏とは以前から交流があり、普段からお笑い談義をしているという。

 最終回となる第4回では、最近のお笑い界の劇的な変化について語り合った。

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ラリー:最近のお笑いの世界って、ちょっと前に比べてだいぶ変わってきた気がしませんか? 一時期はテレビでお笑い番組があんまりなくて、もうテレビのお笑いは終わりだとか言われていましたけど、最近になって急激に増えてきましたよね。その変化についてどう思われます?

浜口:めちゃくちゃ嬉しいですよね。見る番組が急に増えましたもん。僕が放送作家をやっていたときって、バラエティ番組があんまりなくて、やりたい番組っていうのがなかったんです。でも、この状況だったらまたやりたかったな、って思いますね。

ラリー:浜口さんが放送作家から小説家に転身した理由にはそういうところもあるんじゃないでしょうか。放送作家という仕事がちょっと先行き不安だな、みたいな。お笑い番組はないし、もうできないって言われているし、テレビでは高齢者向けに番組作りをしていかなきゃいけないんだよ、みたいなことを10年ぐらい前までは結構言われてましたよね。

浜口:言われてました。僕はもともと小説家になりたかったというのもありますけど、そういう時代状況じゃなかったらもうちょっと続けていたかもしれないです。

ラリー:お笑いが盛り上がっていて嬉しいと思う反面、こんなに劇的に変われるんだったらもうちょっと早く何とかならなかったのか、とも思いますけどね。

浜口:そういう意味では、テレビってほんまに節操のないメディアだなと思います。昨日言ってたことが今日には変わってたりして、一気に全部そっちに行くじゃないですか。

ラリー:テレビの歴史ってそういうところがありますよね。ある時期にクイズ番組が流行り始めたら、みんな一斉にクイズ番組ばっかりやったりとか。その節操のない感じがテレビの面白いところでもあります。

浜口:そういうことができるっていうところに希望はまだあると思いますね。

ラリー:たとえば、今は千鳥やかまいたちがたくさん出てますけど、一昔前だったら、あのぐらいの芸人はもっと普通の情報番組とかにも出ていたと思うんですよ。でも、今は、あの人たちがお笑い要素が強い番組ばかりに出ていたりするじゃないですか。そういうところが本当に時代が変わった感じがします。

浜口:見ている限りでは、逆にそっちに行きすぎて、芸人任せになっているような番組もあるような気はします。

ラリー:なるほど。作り手が芸人に「好きなようにやってください」って言うのが面白い場合と、ある程度コントロールした方がいい場合がありますからね。

浜口:ある程度はレールを敷いておいてくれないと、それをはみ出すことができないじゃないですか。箱を作るのがスタッフの仕事なんですけど、箱なしで野原に放り出して「好きに遊んでください」みたいな番組も出てきていると思います。

ラリー:でも、今の芸人って優秀だから、それで何とかできちゃうんでしょうね。

浜口:そう、できるんですよ。本人も当然「やりたい」って言うじゃないですか。できることはできるけど、実は結構カロリーを使ってるんだろうな、とは思います。

ラリー:あと、浜口さんはいち早くテレビやお笑いの世界に見切りをつけて、小説の世界に行かれたじゃないですか。最近、芸人やテレビマンの間でもちょっとそういう風潮がありますよね。芸人が事務所を辞めて独立したり、テレビマンがYouTubeを始めたり。そういう動きが活発になってる感じがするんですけど、浜口さんはその先駆けだなと思っていて。

浜口:そんな大層なことじゃないですよ(笑)。でも、たしかに、集団でモノ作りをするよりも個人で作れる人間が強い、みたいな感じになってきているとは思います。

 芸人の世界でも、少し前まではひな壇で仲のいい芸人同士がチームワークで笑いを取る、みたいなのが主流だったじゃないですか。でも、それもちょっとずつ減っていって、個人として強い芸人が勝っていくみたいな感じになっていますよね。

ラリー:たしかに、前までは芸人がYouTubeなんてやるもんじゃない、っていう風潮があったけど、今は霜降り明星とかかまいたちとか、テレビでも活躍している芸人がYouTubeも本格的にやって、そっちでもファンを増やしていく、みたいなことをやっていますよね。結局、個の力がある芸人はどっちにも対応できるんです。

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