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ダークウェブとディープフェイクを使った新型コロナウイルスのワクチン詐欺の怖すぎる実態　有名医師の動画も改変!?

2021.08.17 07:00

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ダークウェブとディープフェイクを使った新型コロナウイルスのワクチン詐欺の怖すぎる実態　有名医師の動画も改変!?の画像1 — 画像は「Getty Images」より引用

　新型コロナウイルスのワクチン詐欺が後を絶たない。新手の詐欺ではテレビ出演した医師の動画を悪用し、音声だけ吹き替えたものも登場しているというから驚きだ。

　ワクチン詐欺は規模が世界的に広がって過去最大級のスケールとなっている。日本では４月からワクチン接種が開始されたが、ー般人の接種に至らない国々が多数あって、そこに「特別にワクチン接種ができる」と呼びかけて金を騙し取る詐欺事件が急増中だ。英国のリサーチ企業では、ある詐欺師の使った電話番号から送られたショートメッセージが22カ国400万件以上もあり、応答した人々から実際に金を払ってしまった80件以上の被害を割り出したという。

　その詐欺師はフェルナンド・ゴメスという実在のブラジル人医師を名乗り、「ワクチンのない人々に病院にあるワクチンを極秘で送りたい。私も大きなリスクがあるが、費用をもらえればこっそり送付する」とSNSやショートメッセージなどで呼びかけた。詐欺師はゴメス医師のニセの身分証を画像で見せるなどして被害者を信用させていた。

　ニセゴメスを追った南アフリカ人記者によると「詐欺師は巧妙で、本物のゴメス医師がネット上に公開した動画メッセージを悪用し、音声だけ吹き替えて相手の名前を呼びかけて信用させたものがあった」というのだが、これとそっくりな事例が日本にも登場しているのである。

　消費者庁など日本でもワクチン詐欺の報告は続々とあり、その背景は政府が大々的にワクチン接種を始めたのに、全国の自治体でワクチン不足になったことが原因だ。職場接種も6月に申請が始まったが、政府の想定を超える申請が集まって休止された。厚生労働省によると5202会場の申請うち、8月1日までに実施できたのは半分以下の2299会場だったというから「お金を払っても打ちたい」とする人々が増えている。そこに付け込んだのが詐欺師たちだ。

　国民生活センターによると、SNSやショートメールで独自のワクチン接種を装ったメッセージが各地で報告され、不審な人物とやりとりをしてしまったり、ニセの申請サイトに登録をしたという被害も出ているという。中には大手製薬会社名を名乗って「有料のワクチン接種ができる」とするものもあったというが、驚くのは、著書も出している有名医師を騙ったもので、勤務先の医院の実名を出し「10万円でワクチン接種の優先順位を上げられる。これはあとで政府からキャッシュバックされる」などと言って金を振り込ませたもので、その手口は「日本版ニセゴメス医師」ともいえる。

　実際に、ニュース番組に１月ごろオンライン出演した大学病院勤務の医師の喋っている動画が切り出され、話していた内容は緊急事態宣言の中での医療現場の話だったのに、「特別なワクチン接種を優先的に提供できます」と吹き替えた十数秒の改編動画もあったという。

「口の動きと言葉が噛み合ってないので、多くの人は不審に気付いて実際にお金を振り込んだという話までは聞かないんですが、高齢者が気付かず支払いに応じてしまう不安があります」（センター関係者）

　あまりに詐欺が多発しているため、同センターでは「新型コロナワクチン詐欺　消費者ホットライン」（０１２０－７９７－１８８）を開設したほど。

　また、匿名性の高いネット空間のダークウェブ内では、日本人医師の画像や動画を悪用したワクチン販売をうたう投稿が見つかったとの報告もある。ダークウェブでは先日「武漢科学研究所」出身を名乗った者が登場し、本物の米製ワクチンが取引できたとするウワサがあったりして混乱を呼んでおり、ワクチン詐欺は広がるばかりだ。

文＝ジャーナリスト・片岡亮

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