ヒトは“酒に弱くなる”ように進化中だと判明! 「酒離れ」は遺伝子レベル、全人類“下戸”時代へ(最新研究)

 酒は百薬の長――そう長きにわたり信じられてきた。しかし、最新研究によると、むしろ酒は「毒である」と報告され、全世界に衝撃が走ったことは記憶に新しい。

 たとえば、2020年1月にはNHKが特集を組み、人類は進化の過程において3つの事件を経て「アルコール」との付き合い方を変えて来たと紹介している。まず第一の事件は酒類・アルコール飲料など存在しようもない遥か昔、1200万年も前の人類の祖先に「酒に強くなる遺伝子」が現れたことだ。これは食料不足の際に発酵した果実を食べていた祖先に起きた突然変異だったとされる。

 第二の事件は、古代の神殿建築において、酒が重要な役割を果たしていたことだ。仮説ではあるが、トルコの世界遺産ギョベクリ・テペなどの大規模な神殿建築では「酒」が造られていたという。

 そして第三の事件は「アルコールに弱い遺伝子」の再浮上である。実は稲作の分布する地域、とくに東アジアには、この遺伝子が多いと言われる。仮説ではあるが、6000年以上前、猛毒アセトアルデヒドを分解する遺伝子の働きが弱い祖先が中国に出現した。分解できない毒がある程度まで体内を悪性微生物から守っていた、というのだ。つまり、生命を守るために再度「酒に弱い遺伝子」を獲得したという説である。

 切っても切れない酒と人類の関係を再確認すべく、2018年2月の記事を再掲する。

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 人類はいまだ進化の途上にあるのだが、遺伝子の変化は人類を下戸にするかもしれない。つい最近、人類はアルコールへの耐性を失いつつあるかもしれないという研究が発表されて話題となっている。今月23日付で科学メディア「Science Alert」が報じている。

ヒトは酒に弱くなるように進化中だと判明! 「酒離れ」は遺伝子レベル、全人類下戸時代へ(最新研究)の画像1画像は「Thinkstock」より引用

■進化によってアルコール耐性が低下?

 人類のアルコール耐性は落ちていくかもしれない……そんな研究結果を発表したのは米国ペンシルベニア大学の遺伝学者ベンジャミン・ヴォイド氏らだ。ヴォイド氏らは2008~2015年に実施されたヒトゲノムプロジェクトのデータから、4大陸26集団を代表する2500人以上の人々のゲノムを収集して解析し、どの領域がこの数万年で適応したか(つまり進化したか)を調べた。すると、環境に適応して進化している遺伝子の一つとしてアルコール脱水素酵素(ADH)に関連する遺伝子群が浮かび上がったのだ。

 ADHは体内に入ったアルコールをアルデヒドに変換する酵素として働いている。お酒を飲むと顔が赤くなって心拍数が上がり、時には吐き気を覚えることもあるが、これらの副作用を引き起こしているのがアルデヒドだ。お酒に強い人々の体内では、アルデヒドは速やかにカルボン酸に変換されて無害化され、副作用を感じにくい。だがADHに変異を持っている場合、代謝が効率的に行われなくなるという。この変異は日本を含む東アジアの集団によく見られる。いわゆる下戸の遺伝的な仕組みだ。

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