目が合った途端に子宮が疼き…瀬戸内寂聴の実話映画『花芯』究極のエロスがヤバい

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花芯
2016年・クロックワークス配給
監督/安藤尋
脚本/黒沢久子
出演/村川絵梨、林遣都、安藤政信ほか
原作/瀬戸内寂聴『花芯』

 2021年11月9日、作家で僧侶の瀬戸内寂聴が心不全のため御遷化されました(享年99歳)。尼僧なのにエッチな話をポンポン出して人を笑顔にし、「ぱーぷる」のペンネームで少年少女向けのケータイ小説まで書いていましたね。そんな寂聴の小説はいくつか映画化されましたが、ここではいわく付きの『花芯』を取り上げてみます。日本の官能小説では女性器をよく「花弁」と表現しますが、「花芯」は中国では「子宮」を表す言葉だそうで、言い得て妙ですね。

 本名・瀬戸内晴美は、1956年に『痛い靴』で作家デビューしました。その年、『新潮』誌に掲載された『女子大生・曲愛鈴(ちゃいあいりん)』が「新潮同人雑誌賞」を受賞し、これで同誌から人生初のオファーを受けて発表したのが『花芯』(『新潮』1957年10月号)です。作品は自信作でしたが、当時の代表的な文芸評論家・平野謙が「エロで時流に媚びている」と批判的な書評を発表しました。その時代のエロ事情がどんなものか知らないので、この大先生が的を射ているのか見当ハズレなのかは判りませんが、世間も追随して『花芯』に大バッシングを浴びせます。意識的に多用した「子宮」から瀬戸内晴美は「子宮作家」と揶揄され、「男と寝ながら書いたのだろう」「作者は自分の性器を自慢している」などと匿名のゲス投稿者(今も昔も変わりません)から集中砲火を浴びました。

 彼女は新潮社に出向き、斉藤十一編集長に『新潮』誌上での反論掲載を直訴しますが、社屋にも入れてもらえず「小説家は自分の恥を書き散らして銭を稼ぐ。読者にどう悪口を言われようと反論すべきではない。そんなお嬢さんのような物腰でどうする。顔を洗って出直して来い」と玄関払いを食いました。何しろ当時の彼女は無名作家でしたから、歯牙にも掛けられません。

 ならばと彼女は他誌で「あんな事を言う批評家は皆インポテンツで、女房は不感症だろう」と豪快な逆襲(笑)に出ます。でもスカッとしたのも束の間、これで先生方が大激怒。大炎上した瀬戸内晴美はその後5年に渡って文壇から干されたのでした。この攻防戦、現代のネット社会でやったらどうなるのか興味津々です。

 さて、とかく早過ぎる傑作というものは、後に時代が追い付けば認められるものです。瀬戸内は原稿用紙60枚の短編だった『花芯』を200枚に大幅加筆して、三笠書房からリベンジ出版を果たしました(現在は講談社文庫で読めます)。「子宮作家の傑作」というキャッチコピー(おいおい担当さん)には辟易したようですが、順調に売れ行きを伸ばして留飲を下げたようです。そして『花芯』は、2016年になって映画化が実現しました。

 監督は、松本潤と榮倉奈々による禁断の兄妹恋愛を描いた『僕は妹に恋をする』(07年)、『ケータイ刑事 THE MOVIE3 モーニング娘。救出大作戦~パンドラの箱の秘密』(11年)などを手掛けた安藤尋。脚本は『怪奇大作戦 ミステリー・ファイル』(13年)、『ウルトラマンX』(15年)など平成の円谷プロ作品で若い特撮マニアに知られる黒沢久子。

 ヒロイン園子を演じた村川絵梨は今年のNHK大河ドラマ『晴天を衝け』で渋沢栄一の姉・なかを演じ、かつてはNHK朝ドラ『風のハルカ』(04年)で主役も務めました。公開前のプレスインタビューで寂聴は「主人公の全裸体の美しさ! 身体を張った捨て身の演技の迫力に感動!」と村川絵梨を絶賛しました。寂聴が園子のモデルにしたのは、作家・阿刀田高の姉で同級生だったとし子です。大学の先生が何人も夢中になる美貌の持ち主で、容貌、優雅な雰囲気、ナヨナヨって感じのおしとやかさ、全てがイコール園子だそうです。そして相手役はセクシー安藤政信。劇中の台詞「君という女は、体中のホックが外れている感じだ」は原作にもある名言です。粗筋はこんな感じです。

 戦後まもなく、園子(村川絵梨)は父親が決めた許婚・雨宮(林遣都)と厭々結婚します。童貞の雨宮は初夜に失敗し「僕は純情なので」と不要な言い訳をして、ますます園子の不興を買います。以降も夫の懸命なセックスに、園子は天井を見つめて全く感じていません。やがて二人の間に第一子が儲かりますが、園子には家庭に対する愛情が一向に湧きません。だが夫の京都支社転勤が園子の運命を変えます。同じ屋根の下宿先には夫の上司・越智(安藤政信)が住んでいて、こいつがミステリアスかつセクシー。目が合った途端に子宮の疼きを感じた園子にとって、それは遅い初恋でした。

 実は越智、20歳年上である下宿先の大家と長年情事を重ねていました。それを知った園子はショックを受け自暴自棄、自分をエロイ目で見る同じ下宿の美大生(落合モトキ)に抱かれてしまいます。しかも、これを夫に話して首を絞められます(笑)。耳障りなほど「女性はこうあるべきだ」と妻を扱う平凡な夫ですが、結婚相手を間違えて不憫です。この痛い夫を演じた林遣都は最近、元AKB48の大島優子を嫁にしましたね。『花芯』と同年に放送された『おっさんずラブ』(16年)で田中圭を振り回した演技も記憶に新しいところです。

 さて、失意の雨宮は息子を連れて東京に戻り、彼を密かに慕っていた園子の妹と再婚します。晴れて園子は越智と逢瀬を重ね、アパートで小説を書いて暮らします。結局、越智は大家とは切れず、園子も不特定多数の男と関係します。やがて園子を「愛人がいた父親の血が流れている」と罵っていた母親が他界し、葬儀で「自分が灰になっても、この子宮だけは焼け残るのではないか」と思うのでした。

 寂聴は、東京女子大在学中の二十歳で9歳上の男と見合結婚、22歳で長女を出産、24歳で夫の教え子(21歳)と不倫し、それを夫に打ち明けます。夫と子供を捨てた寂聴は小説の執筆生活に入りました。『花芯』は実体験に基いて書かれたのです。

編集部

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