「脳に届く共通のダイレクトメッセージ」に苦しむ人が急増! 妄想ではない、拡大する謎の現象・TIの恐怖

※ こちらの記事は2017年11月20日の記事を再掲しています。

 近年、世界中の多くの人々が社会生活の中で恐ろしい経験をしていると訴えている――。


■TI(ターゲット個人)とは?

 まず、経験者はすべて同じ現象を報告する。頭の中で話しかけてくる声を聞き、「電気や電磁波を使った拷問」に苦しみ、政府からの組織化されたストーキングの対象となっているという。彼らは自分自身を「TI(Targeted Individuals、ターゲットにされた人)」と呼ぶ。

「脳に届く共通のダイレクトメッセージ」に苦しむ人が急増! 妄想ではない、拡大する謎の現象・TIの恐怖の画像1イメージ画像:「Thinkstock」より

 この「TI」のコミュニティは、英国や米国だけでなくカナダ、ドイツ、イタリア、スペイン、そして日本と多くの国々に存在している。それは既にグループでなく、「コミュニティ」と呼ぶべき規模にまで拡大している。

 今回紹介するビデオには、英国のTIコミュニティのミーティングの様子が撮影されている。英国TIコミュニティのリーダーであるマイルズ・ジョンストンは、一見ごく普通の初老男性だ。しかし彼は、自宅に小さなスタジオを設置し、そこから世界中のTIの人々に発信を行う。彼によると、彼の放送には1300万人ほどの視聴者がいるという。

 米国カリフォルニア州にも、陰謀説に基づいたニュース専門のラジオ局「Coast to Coast AM」があり、数百万人のリスナーが存在する。

 また、TIのFacebookのフォーラムやサポートグループもさまざまな活動をしており、自分たちの考えを聞こうとしない不憫な家族や友人のこと、また自宅の付近を偵察する謎の黒い車や職場における陰謀を連日連夜、語り合う。拡大するTIコミュニティには、あらゆる職種の人が存在し、中にはエンジニア、兵士、芸術家、そして弁護士や医者もいる。

 米国のTIコミュニティは非常にアクティブで、資金集めのキャンペーンを行い、裁判所や議会でも戦おうともしている。例として、昨年カリフォルニア州のTI信者たちがマインド・コントロールに使用されている宇宙兵器禁止の決議を起こすように市議を説得した。同じような運動は、アリゾナ州でも進行中だ。

英国のTI(左からショーン、キーレン、フィオナ) 動画は「VICE」より

 このビデオの中でTI被害を訴えるイギリス人のフィオナは、何者かに電磁波を照射されるため、家を移動し続けなければならないとインタビュアーに話す。

 彼女は電磁波を避けるための鉛でできた重いエプロンや帽子、身体を覆うアルミホイルを常に持ち歩いている。最近ではどこに行っても電磁波の照射から逃れられないので、ついに貸し倉庫の部屋で眠るありさまだという。

 また、イギリス人のキーレン・リーはTIコミュニティの主要メンバーだが、体内にインプラントが埋め込まれていると訴える。彼はインプラントを取り出すためにMRI撮影までしたが、医者は彼の体内は全く正常だと言い、精神科医に会うことを勧められた。

 さらにショーンという男性は、自分の留守中に自宅に何者かが侵入し、愛犬を傷つけ、家の外壁タイルを何度も割られたと報告する。そして彼もまた、自分の身体にはインプラントが入っていると訴えている。

 彼らのようにインプラントが身体に埋め込まれていると主張する人たちは、それを取り除くために手術で肉を切除することも試みる。フィオナはマイクロチップを取り出すために、医者に指を切開してもらったと語る。そしてキーレンは医者が手術を拒んだので、自分でうなじ部分を切開したのだ。

「脳に届く共通のダイレクトメッセージ」に苦しむ人が急増! 妄想ではない、拡大する謎の現象・TIの恐怖の画像2TIコミュニティのメンバー 画像は「YouTube」より

■社会現象としてのTI

 米国の同時多発テロ事件以来拡大しているTIコミュニティは、少なく見積もっても1万人以上と見られる。このコミュニティはインターネットによって拡大し、政府の監視に対し恐れを抱いている。

 精神科医によると、このコミュニティの人々には妄想性障害や統合失調症を抱える患者が多いという。また別の専門家は、何千人もの精神的な問題を持つ人々が一緒になり、彼らの妄想を真実と認めさせるコミュニティを形成することは憂慮すべき事態であり、計り知れない危険をはらんでいると警告する。

 集団ストーカーの唯一の研究者と思われるロレイン・シェリダン博士は、彼らには他のグループとは別の危険性があると指摘している。シェリダン博士はこれを「エコーチェンバー」現象と呼ぶ。「エコーチェンバー」現象とは、閉じられた空間で同じ意見の人だけが集まり、話し合っているうちにそれが共鳴し合い、絶対に正しいことだとメンバー同士で信じてしまう現象を指す。シェリダン博士は法医学精神科医デビッド・ジェームズ博士と共に、128の「集団ストーカー」例を実際に検討したが、すべてのケースでそれはほとんど妄想であったと結論づけた。

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