『藤村操と巌頭之感』
1903年5月22日は学生・藤村操が華厳の滝から飛び降り自殺をし、その直前に『巌頭之感』なる文学的評価の高い遺書をその場の木に彫った日である。
「既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを」(『巌頭之感』抜粋)
東京大学の前身である第一高等学校の学生という未来あるエリート少年がこの世を憂い、早々に自ら死を選らんだ事実は、社会を動揺させるには十分な事件であり、その一方で多くの若者の共感を呼び、事件後、185人の後追い自殺者を誘発する社会現象となった(死者は40名ほど)。また、自殺直前には夏目漱石が彼の教師をしており、最後の会話が説教だったことが晩年の漱石の鬱病に繋がったとも言われている。
歴史的にみても、ここまで絶大な影響力を持った自殺は珍しく、逆の観点からいえば西洋化を急ぐ当時の明治期の日本社会が一様に生命力に溢れていたことの証明ともいえるだろう。ともあれ、ひとりの少年の悲劇は遺書という形で現在にまで残り、現代の日本文化に新たなる多様性をもたらしたことは事実である。

(写真はWikipedia 藤村操より使用。Public Domain)

5月22日の不幸

1885年
【死去】ヴィクトル・ユーゴー(Victor Marie Hugo)【小説家・政治家/フランス】

世界的文学作品『レ・ミゼラブル』『ノートルダム・ド・パリ』で知られるフランス、ロマン主義を代表する作家。成功者でありながら、妻の不倫、子供の死など、悲劇の多い人生だった。肺炎で83歳没。

1903年
【自殺】藤村操【学生】

第一高等学校の生徒。父親は屯田銀行の頭取。「巌頭之感」なるその場の木に刻みつけた遺書を残し華厳滝で投身自殺。エリート学生の自殺は、その文学的な遺書と共に話題となり、後追い自殺が続出(185人ほど、死者はそのうち40人)。彼の担当教師だった夏目漱石にも影響を与えたと言われている。没年16歳。

1949年
【自殺】ジェームズ・ヴィンセント・フォレスタル(James Vincent Forrestal)【政治家/アメリカ合衆国】

第47代アメリカ合衆国海軍長官であり、初代アメリカ合衆国国防長官。フランクリン・ルーズベルト、ハリー・S・トルーマンという大統領2代を支え、第二次世界大戦期のアメリカ軍事で重要な役割を担った。しかし軍部と大統領の間で板挟みになり心労が重なった末に鬱病を発症、ベセスダの海軍病院に入院した。しかし入院からおよそ2カ月後、16階の病室から投身自殺した。没年57歳。

1962年
【航空事故】【ハイジャック】「コンチネンタル航空11便爆破事件」

民間のジェット旅客機が歴史上初めて破壊活動によって墜落した事件。爆破はミズーリ州カンザスシティに向かう途中、アイオワ州とミズーリ州を飛行している際に発生。原因は強盗容疑で予審に向かうトーマス・ドーティが、妻を受取人とする生命保険金目当てに仕掛けたダイナマイトによる爆発であると断定されている。この爆発により乗員乗客45人全員が死亡した。

1963年
【政治事件】 【暗殺】「グリゴリス・ランブラキス暗殺事件」

ギリシャの民主左翼同盟党首・グリゴリス・ランブラキスが右派による暴行により死亡した事件。1963年5月22日、ギリシャのテッサロニキで反戦集会に出席した帰り、サイドカーに乗車していた男性に棍棒で頭部を殴られ負傷。5日後の27日に脳挫傷によりランブラキスは死亡。没年51歳。

1967年
【火災】「イノバシオンデパート火災事件」

1967年5月22日にベルギー・ブリュッセルにあるイノバシオンデパートで起こった火災。この火災による死者は251人、負傷者は62人。火災の原因は、ベトナム戦争下にアメリカ商品の展示会がデパートで行なわれたことによる、反米勢力によるものではないかと推測されている。

1968年
【海難事故】【怪事件】「原子力潜水艦スコーピオン沈没事件」

アメリカの原子力潜水艦スコーピオン号が消息を絶ち、その後沈没していた事件。1968年5月21日夕刻の定時連絡から消息を絶ち、同月27日の入港予定日にも姿を見せなかったため、アメリカ海軍は捜索を開始。5月22日に発生した爆発音と圧壊音を、カナリア諸島とニューファンドランド島に設営された低周波ハイドロフォンが記録しており、沈没が確認された。この事件により乗員99人が死亡した。原因は魚雷の爆発ともバッテリー充電中の事故とも、さらにはソ連からの攻撃とも類推されているがいまだに明らかになっていない。

1976年
【奇妙な死】【殺人事件】オスカー・ボナベナ(Oscar Bonavena)【プロボクサー/アルゼンチン】

ジョー・フレージャーやモハメド・アリとも好勝負を繰り広げたという元世界ヘビー級の強豪。生涯通算58勝(44KO)9敗1分け。後援者、プロモーターのジョン・コンフォートの妻を寝取り、その後も彼の牧場や邸宅に何度も出入りをしていたが、1976年5月22日の朝にコンフォートを尋ねた際にガードマンによって射殺された。没年33歳。

1985年
【死去】【事故死】ウォルフガング・ライザーマン(Wolfgang "Woolie" Reitherman)【アニメーター・映画監督/ドイツ】

初期のウォルト・ディズニー・プロダクションに所属していた9人のアニメーター「マイン・オールドメン」のひとりで、"ディズニー・レジェンド"と呼ばれている天才絵師。後年は『101匹わんちゃん』等の長編映画の監督も手がけている。シングル・カーの交通事故で死去。没年75歳。

1990年
【死去】ロッキー・グラジアノ(Rocky Graziano)【プロボクサー/アメリカ合衆国】

イタリア系アメリカ人の元世界ミドル級チャンピオン。生涯通算67勝(52KO)10敗6分け。貧しい家庭に生まれ(父親もプロボクサー)、少年期からストリートファイトに明け暮れる。少年期の8年を刑務所・感化院で過ごし、徴兵後も上官を殴って脱走した。しかしボクシングで更正、1947年、25歳で世界ミドル級王座を奪取。その波瀾万丈の生き方がポール・ニューマン主演の映画『傷だらけの栄光』として作品化された。心肺不全で71歳没。

1992年
【傷害事件】「伊丹十三襲撃事件」

映画監督の伊丹十三が自宅マンション付近の駐車場で暴力団員に襲撃された事件。1992年5月16日から公開された自身の映画『ミンボーの女』への反発によるものであった。この事件により山口組系後藤組の組員5人が傷害容疑で逮捕された。

2015年
【夭折】丸山夏鈴【アイドル歌手・タレント】

小学校2年の頃に脳腫瘍が発見されて以来、7回の摘出手術を受けながらアイドルとして活動するが21歳で死去。その壮絶な人生はドキュメンタリー「最期までアイドル 夏鈴という奇跡」として地元福島中央テレビで放送された。

2017年
【テロ】「マンチェスター・アリーナ爆発物事件」

2017年5月22日にイングランド・マンチェスターにあるマンチェスター・アリーナで起こった自爆テロ。事件当日、アリーナではアメリカのシンガー・ソングライターであるアリアナ・グランデのツアー公演が行なわれていたが、公演終了直後、帰宅中の観客で賑わうエントランス・ロビーで爆発が発生。この爆発により、実行犯を含む23人が死亡、およそ120人が負傷した。犯人のリビア系イギリス人、サルマン・アベディはイスラム教徒であり、イスラム過激主義者、イスラム国とも関係があったとされているが関連性は不明。

2017年
【競技中事故死】ニッキー・ヘイデン(Nicholas "Nicky" Patrick Hayden)【オートバイレーサー/アメリカ合衆国】

AMAスーパーバイク選手権、ロードレース世界選手権MotoGPクラスなどでチャンピオンとなったアメリカのオートバイレーサー。アメリカでも有名なレーサーの家に生まれ、3歳からバイクに乗り、5歳頃にはレースに出場するほどであった。2017年5月17日、イタリアで自転車を走行中に車と衝突。手術が行なえないほどの重傷を負い、事故から5日後に死去。没年35歳。