『1970年代のハリウッドサインと1931年のペグ・エントウィッスル』

1932年9月18日は、ウェールズ出身の女優のペグ・エントウィッスルがハリウッドサインの“H”から飛び降り自殺の末に死んだ日である。
若くからブロードウェイで活躍したエントウィッスルは、その演技力もあってハリウッド映画にも進出し、1932年公開の『Thirteen Women』に出演したが、その公開約1カ月前に死亡した。
18日にはその遺体と遺書が見つかり、恐らくは16日に死んだと推測されるものの、18日が死亡日として報道された。
彼女はハリウッドサインのあるカリフォルニア州ロサンゼルスのリー山へと向かい、作業用のはしごを使って「H」の上へとひとりで登り、飛び降り自殺を遂げたといわれている。
遺書にはP.E名義で「全てにお詫びします。もっと早くに自殺をすれば〜」と長年抱えていた今ひとつ売れない女優としての苦悩を懺悔する内容が書かれていた。
ハリウッドに進出したばかりの若手女優がその苦悩の末にハリウッドの文字の上から飛び降り自殺する——これほどにドラマチックなストーリーは映画のようでしかないが、それは現実となった。
しかし、その物語の最後には、彼女の最後の出演作『Thirteen Women』がヒットすることはなかったという、冷酷な結末だけが待っていた。
近年、その小さな不幸のドラマが発見され、facebook経由で募金が集まり、彼女の墓碑銘が刻まれるという出来事があったが、果たして、その再発見をもって彼女の“孤独な人生”は報われたといえるのだろうか?

(Wikipedia Peg Entwistleより使用。Pubulic Domain)

9月18日の不幸

1828年
【政治事件】「シーボルト事件」

1828年9月18日、オランダ商館付医員シーボルトが帰国時に国禁の日本地図などを持ち出そうとしていたことが、乗っていた船の座礁により発覚した事件。このことによりスパイ容疑をかけられたシーボルトは尋問を受けた後、翌年長崎奉行により国外追放となった。また、事件に関係した天文方・高橋景保が投獄されるなど多数の関係者や洋学者が処罰されることとなった。

1927年
【死去】徳冨蘆花【小説家】本人に会見したほどトルストイに傾倒した日本ロマン主義の作家。代表作に『不如帰』がある。実兄は思想家・ジャーナリストである徳富蘇峰。狭心症で58歳没。
1931年
【政治事件】「満州事変」

1931年9月18日に中華民国奉天郊外の柳条湖付近で南満州鉄道線路上で起きた爆発事件。爆破は関東軍によるものであったが、中国軍が行なったとして関東軍は満州の中国軍拠点を占拠した。

1931年
【自殺】【夭逝】ゲリ・ラウバル(Angelika Maria "Geli" Raubal)【市民/ドイツ】

アドルフ・ヒトラーの姪にあたる人物。母アンゲラがヒトラーの世話係となったため、母と妹の3人でヒトラーの元へ。ヒトラーがナチ党のリーダーとして台頭すると、ゲリはヒトラーから私生活に至るまでの束縛を受けたが、これはヒトラーがゲリに対し叔父姪の関係を超えた愛情を注いでいたからであった。1931年9月18日、ヒトラーと口論後に銃で自殺。没年23歳。

1932年
【自殺】ペグ・エントウィスル(Peg Entwistle)【女優/ウェールズ】若くからニューヨークのブロードウェーで活躍し、その演技力もあってハリウッド映画にも進出。『Thirteen Women』に出演したが、その公開約1カ月前に死亡した。 18日にはその遺体と遺書が見つかり、恐らくは16日に作業用のはしごを使ってHの上に登り、飛び降り自殺を遂げたという。遺書には「もっと早くに自殺をすれば〜」と長年抱えていた今ひとつ売れない女優としての苦悩を懺悔する内容が書かれていた。没年24歳。
1961年
【航空事故】ダグ・ハマーショルド(Dag Hammarskjöld)【政治家/スウェーデン】

スウェーデンの外交官で第2代国連事務総長(1953年〜1961年)を務めた人物。大学卒業後、財務省へ入省。1930年に失業問題委員会の秘書官を務めた後、財務次官(1936年〜1945年)、スウェーデン国立銀行総裁(1941年〜1948年)へ。1947年、パリ会議にスウェーデン代表として参加。その後、1949年に外務次官となり、1951年には国連総会スウェーデン代表団の副団長、翌年には同会のスウェーデン代表団団長に就任した。1953年、最年少で第2代国連事務総長に選出された。1961年9月18日「コンゴ動乱」の停戦調停へ向かっていたが、搭乗していたダグラスDC-6B機が墜落し死亡。没年56歳。

1970年
【怪死】【夭折】ジミ・ヘンドリックス(James Marshall "Jimi" Hendrix)【ミュージシャン/アメリカ合衆国】

右利き用のギターを逆さまにして使うテクニックや、歯で弾く、ギターに火を着けるなどの革命的なパフォーマンスで世界を驚かせた伝説のロックギタリスト。代表曲に『Purple Haze』『Voodoo Chile』等。20世紀のセックス・シンボルとしても知られ、ジャニス・ジョプリンに代表される派手な女性関係も話題となった。薬物過剰摂取が原因と言われるその死は、マネージャーによる他殺説が囁かれるなど、今も怪事件として真相は明らかになっていない。没年27歳。

2001年
【大量殺人】「アメリカ炭疽菌事件」

2001年9月18日・同年10月9日にアメリカのニュースメディア事務所や民主党議員宛に炭疽菌入りの手紙が送られた事件。この事件により第一波・第二波をあわせ5人が死亡した。送られた手紙には「2001年9月11日 次はお前だ すぐペニシリンを用意しろ アメリカに死を イスラエルに死を アラーは偉大なり」などと書かれていた。2008年8月6日、FBIは科学者であったブルース・イビンズの犯行と断定していたが、同月1日にブルースはアセトアミノフェンを大量服用しすでに自殺していた。

2002年
【死去】ボブ・ヘイズ(Robert Lee "Bullet Bob" Hayes)【陸上競技選手・アメリカンフットボール選手/アメリカ合衆国】

1960年代に活躍したアメリカの陸上競技選手およびアメリカンフットボール選手。フロリダA&M大学在学中の1963年、100ヤード走で当時の世界新記録9.1秒を樹立。翌年に開催された『東京オリンピック』では男子100メートル走、400メートルリレーともに当時の世界新記録を出し金メダルを獲得。オリンピック出場後はNFLのダラス・カウボーイズに入団し、ワイドレシーバーとして活躍。1971年にオリンピックの金メダリストでスーパーボウル・リングを獲得した初の選手となった。2002年9月18日、腎不全で死去。没年59歳。

2004年
【死去】ラス・メイヤー(Russ Meyer)【映画監督・カメラマン/アメリカ合衆国】

アメリカ軍の従軍カメラマン、『プレイボーイ』誌のカメラマンを経て1950年の『The French Peep Show』で映画監督デビュー。ポルノ作品を数多く手がけた人物であったが、代表作の『Faster, Pussycat ! Kill ! Kill !(ファスター・プシィキャット!キル!キル!)』(1965年)『Vixen !(女豹ビクセン)』(1968年)に象徴されるようなグラマーな女性たちによる女性上位主義的な作風がカルト的人気を博した。2004年9月18日に肺炎の合併症で82歳没。

2017年
【急死】赤染晶子【小説家】

2004年の小説『初子さん』で第99回文學界新人賞を受賞し、2010年には『乙女の密告』で第143回芥川賞を受賞した女性小説家。2017年9月18日に急性肺炎のため42歳没。