UMAの存在を否定する人に読んでほしい「代替生物圏」説!

「代替生物圏」説とは?

 実は、「生物学上存在し得ない」というのは、あくまでも現在の私たちが生命体とみなしている、DNAによって遺伝情報を伝達し、その情報に基づいてタンパク質を合成して身体を形成する、いわば“炭素型生物”に限定した場合に限った話である。

 しかしコロラド大学教授キャロル・クリーランドをはじめとするアメリカの科学者の中には、地球上の既知の生物とはまったく異なる種類の生化学反応に基づいて生きながらえている、別形態の生物圏が地上に存在する可能性を唱える者がいるのだ。この生物圏は「シャドウ・バイオスフィア(Shadow Biosphere)」、あるいは「ヒドゥン・バイオスフィア(Hidden Biosphere)」と呼ばれている。直訳すれば「隠秘生物圏」とでもなるだろうが、意味の上からは「代替生物圏」のほうが適切だろうか。

 もちろん、この「代替生物圏」は実在が確認されているわけではなく、そこに属する生物もせいぜいバクテリア程度のものが想定されている。しかし2010年、カリフォルニアで通常のDNAであればリン原子がある場所に、ヒ素の原子を持つバクテリアが実際に見つかり、議論はさらに加速しているところだ。さらに「生物」という概念の定義によっては、他にも地球上に代替的な生命体を想定することができる。

 例えばアメリカの怪奇現象研究家ジョン・キールは、われわれ地球人とは異なる時空に住む「超地球人」なる存在について想定していた。また神智学では、肉体を持たず「アストラル体」(精神活動における感情を司る部分)だけの生命体とも言うべき「自然霊」の概念がある。2010年3月には、南アフリカの雑誌『南アフリカ・サイエンティフィック・ジャーナル』が、キルリアン写真で感知された「アストラル体」について報じたことがある。

 もちろん、こうした「代替生物圏」は、私たちのような通常型生物とは関わることなく存在している。しかし何らかの原因で、双方の生物が接触する可能性もある。実際、上に述べたジョン・キールも、超地球人がわれわれ人類の活動に干渉している可能性を示唆している。ボア沼の「ナーガ」をはじめ、世界各地で目撃される生物学的にありえないUMAの中には、こうした「代替生物界」から私たちの世界に紛れ込んで来た存在も含まれているのかもしれない。


参考:『週刊現代』(1964年1月1日号)、「LiveScience」、「Astrobiology Magazine」、ほか

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文=羽仁礼(はに・れい)

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