「処刑の前夜、死刑囚の霊が廊下を歩く」― 冤罪で死刑囚となった男が語る、監獄に棲みつく“死者の行進”

イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 不当な有罪判決を受け、死刑囚として監獄で3年間を過ごした男性は、ほかの死刑囚が処刑されるたびに所内で恐ろしい超常現象が繰り返されていると話す――。

■冤罪死刑囚「処刑の前夜、霊が廊下を歩く」

 神ならぬ人が裁く罪の重さだけに“無実の罪”である冤罪は司法制度から払拭できない深刻な問題である。

 英「BBC」が発表した2022年のデータによると、現在死刑は世界の55カ国で合法であり、そのうち日本を含む22カ国が過去10年間に死刑を執行した。このリストには、昨年9つの州で25人の囚人を処刑したアメリカも含まれており、現在国内の27州で死刑制度が施行されている。

 そして恐るべきことに死刑に直面した者全員が実際に有罪だったわけではない。

 アメリカで誤って処刑された人の数に関する統計はないが、死刑情報センターによると、1973年以降、死刑囚監房に収監された後に無罪となった受刑者は約200人いる。

 その中の一人がハーマン・リンゼイ氏である。

 リンゼイ氏は1994年の強盗殺人事件で2006年に死刑判決を受けていたが、その有罪判決は3年後に覆された。

 今では自由の身となっているリンゼイ氏は、死刑囚として、そして無実の人間として生きていた頃のことを語った。

 刑事司法改革を主張する同氏は「Daily Mail」オンライン版に対し、死刑執行直前には数人の受刑者が幽霊らしきものを見たと話していたと語っている。フロリダ州立刑務所での3年間の服役中のことであった。

「誰かが処刑される前夜、霊が廊下を歩いているのが見えます」と彼はメディアに語り、それは幻覚ではなく、目撃したのは彼だけではないとも付け加えた。

「それは伝説ではありません。死刑囚の大半は、実際に目撃したと言うでしょう」(リンゼイ氏)

 リンゼイ氏はその後、多くの囚人がその幽霊はここで処刑された囚人のものだと信じているのだと説明する。

 7人の子供の父親である彼は、この伝説は数年前に亡くなった囚人に由来するもので、以降、囚人の刑期が執行される前に必ず幽霊が現れるのだと話す。

 死の直前に幽霊が目撃されたという話は珍しくなく、亡くなる前の最後の数時間に患者の近くで幽霊を見たという終末期看護師による報告は珍しくないという。

 しかしこの主張は広く議論されており、これらの現象を幻覚であるとして否定する者もいる。

 懐疑的な意見があるにもかかわらず、リンゼイ氏は投獄中に幽霊を目撃したと頑なに主張し続けている。

「自分と同じものを他の12人も見ているのなら、幻覚であるはずがありません。反論するのは事実上不可能なことです。そして、実際にそれが見えるので、私は霊の存在を信じるようになりました」(リンゼイ氏)

リンゼイ氏 画像は「Daily Mail Online」より

 3年間の収監の後、フロリダ州最高裁判所は2009年7月、全員一致で、リンゼイ氏を犯罪者として認定するには証拠が不十分であり、ましてや死刑を宣告することなどできないとの判決を下した。

 裁判所は「州はこの事件において、リンゼイが殺人時に現場にいたことを示す証拠を一切提出できなかった」と述べた。

 こうして彼はアメリカで死刑制度が復活して以来、死刑囚監房から無罪放免となった135人目のアメリカ人となったのである。

 彼は現在、家族とともにフロリダに住み、困窮した若者たちを支援し、刑事司法改革を訴えている。

 死刑執行の日、刑務所には死刑囚の霊が出没するのだろうか。その中には冤罪で命を落とした者の霊もあるのだろうか。そしてもちろん、死刑制度の是非についての抜本的な議論を今後も続けていかなければならない。

参考:「LADBible」、「Daily Mail」ほか

関連キーワード:, , , ,

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

「処刑の前夜、死刑囚の霊が廊下を歩く」― 冤罪で死刑囚となった男が語る、監獄に棲みつく“死者の行進”のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング11:35更新