米軍による気球撃墜で注目される陰謀論「モントーク計画」とは?

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画像は「Getty Images」より

 2月頭にアメリカ各地の上空で謎の気球が目撃され、戦闘機によって撃墜措置がとられて以来、アメリカのSNSではさまざまな陰謀論に関する議論が盛り上がっているという。特に、幾つかの飛翔体が気球ではなくUFOの可能性があるという説が出てきてからは、ある陰謀論との関連性が噂されるようになったのだ。

※ UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。最初のUFO目撃談とされる1947年の「ケネス・アーノルド事件」で、実業家のケネス・アーノルドが目撃した飛行物体について「水の上を滑る円盤のように」動いていたと描写したことから、宇宙人の乗り物を「空飛ぶ円盤(flying saucer)」と言うこともある。

 それが「モントーク計画」にまつわるものだ。

「モントーク計画」は1990年代に作家のプレストン・ニコルズの著書によって世に出たもので、タイムトラベルやテレポーテーション、マインドコントロールから地球外生命体との接触、アポロ月面着陸の偽装などを含む壮大な陰謀論だ。

 この計画は、かの有名な「フィラデルフィア実験」の流れを受け継いでいるともいわれている。

 フィラデルフィア実験は、原爆の研究開発に携わったジョン・フォン・ノイマン博士が中心となり、1943年10月28日にフィラデルフィア沖で駆逐艦「エルドリッジ」に対して行われた極秘実験とされている。その目的は、天才科学者ニコラ・テスラが発明したテスラコイルを用いてプラズマエネルギーを照射すれば、物体がレーダーを回避できるようになるという学説を証明することだった。そして実験はエルドリッジに船員を乗せた状態で実行に移されたが、なんと船はレーダーを回避できるようになるどころか完全に消失し、2500km以上離れたノーフォークにまで瞬間移動してしまう。数分後、エルドリッジは元の場所に戻ってくるのだが、船の中では乗組員たちの体が燃え上がる、凍りつく、半身だけ透明になる、さらに壁の中に吸い込まれる……など恐ろしい現象が起こり、多数の死傷者を出した。事件後、すべてはアメリカ軍によって隠蔽され、プロジェクトも中止された。

 その後、フィラデルフィア実験はモントーク空軍基地(正確にはニューヨーク州ロングアイランドのモントークにあるキャンプ・ヒーロー空軍基地)に受け継がれ、極秘裏に超能力やタイムワープの技術が研究されている、と噂されているのだ。

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キャンプ・ヒーローのレーダー塔(画像は「Daily Star」より)

 著書『モントーク・プロジェクト』はかつてニューヨーク州ロングアイランドのモントーク空軍基地にある「キャンプ・ヒーロー」で行われたタイムトラベル実験について書かれている。この本では過去に米軍が主導して行ったテレポーテーションやマインドコントロール実験、さらには「タイムトンネル」を通じて宇宙人と接触する実験やマンガにでてくるヒーローや悪役に似た「メタヒューマン」を作るため、特別な血清を人間に注射する実験などが行われたという。

 到底真実とは思えない話であるし、この本はフィクションだと思われていた。しかし著者であるニコルズ氏は「定期的に拉致され、実験された」と証言。また、自分の記憶の一部が欠落しており、重要な何かに関する記憶を封印されているようだ、とも主張していた。そして恐るべきことに「モントーク計画」は現在も続いているとされ、アメリカ某所にある古いレーダータワー周辺が怪しいとされている。

 しかし、旅行ガイドサイト「Roadtrippers」によると、問題の場所は冷戦時代のSAGEレーダー塔とのこと。かつては東海岸の海中にある一連の小さな有人レーダータワーの母局であり、冷戦期にはこのレーダータワーのネットワークが旧ソ連の核攻撃に対して警戒網を敷いていたという。

 しかし、現場では「12秒ごとにレーダー塔が回転するたびに動物がパニックを起こしたり、頭痛や悪い夢を見る人がいたり、人々の電子機器がおかしくなったりした」という噂がまことしやかに囁かれていた。これらの噂が合わさって「モントーク計画」の陰謀論が産まれたのかもしれない。

 なお、米国当局が公式に「モントーク計画」についてコメントしたことは一度もない。

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参考:「Daily Star」「Roadtrippers」ほか

【本記事は「ミステリーニュースステーション・ATLAS(アトラス)」からの提供です】

文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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