>  > 「失われた森林」と日本人の心

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うみやまあひだ

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伊勢神宮

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※画像:映画『うみやまあひだ』公式サイトより

 平成二十五年十月、伊勢神宮で第六十二回式年遷宮が催された。

 式年遷宮は二十年に一度、古い社殿の隣に全く同じ様式の新しい社殿を建て神さまにお遷りいただく大祭である。日本で最も神聖な場所との名が高く、一生に一度は行きたいお伊勢さんと言われる伊勢神宮。しかし、その神性について取り沙汰されることは数あれど、伊勢神宮とその周りを囲む森林(鎮守の森)との関わり方が現代の日本にとって大きな意味を持つことはあまり知られていない。

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画像は、YouTubeより

 十年間伊勢神宮を追い続けてきた、写真家・宮澤正明が監督を務めた日本初の4Kドキュメンタリー映画『うみやまあひだ』は、その答えを探っている。


うみやまあひだ

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画像は、YouTubeより

 現代における日本国内の森林の現状は“ホンモノの森”とは言いがたい。

 19世紀半ば、政府は造林を進めるために天然林を伐採し、代わりにスギやひのきなどの経済的に価値が高い針葉樹を植える拡大造林を行った。結果、維持管理しきれない荒廃した森林が増え、自然災害を巨大化させる要因にもなっている。

 建築家の隈研吾は劇中で次のように述べている。

「一番残念なのは森の現状ですよね。【中略】(昔は)森に全すべて生活が依存していたわけですよ。今はエネルギーも材料も肥料も農業も全部森と切れちゃったでしょ」

「日本人の森に対する尊敬の念とか親しさが失われてしまった。この100年間で日本人が一番失ったものは森でしょうね」

 また、森林だけではなくそこから流れ出る川も無関係ではない。

 気仙沼で代々牡蠣養殖業を営む畠山重篤さんはこう語る。

「山からの養分が海に流れ、海の中にプランクトンと海草のもうひとつの森林があるんです。ここを鎮守の海と見立てたらどうかと」

「そうすると、その川の流域に住む人間が何を考えなければいけないのか分かってくるんじゃないかと思いますね。それがむしろ伊勢神宮に行って感じてほしいことですよね」

 さて、式年遷宮という儀式に対しては外国人観光客からはこんな声を聞くこともある。

「二十年ごとに再建され、新しくなった社殿を見ても歴史的価値は感じられない」

 などというものだ。しかし、その新しい=歴史的価値がないという認識については誤りがある。小説家の立松和平によると、日本には世界に誇るふたつのすばらしい文化がある。ひとつは伊勢神宮で、二十年に一度の遷宮をしながら千年以上前から始まったことが伝承され、現代でも一番初めの伝統が瑞々しく甦っていること。もうひとつは法隆寺に代表されるように、ずっと修復を行いながら千年以上前の建物が現在も使われて祈りの対象となっているということだ。

 伊勢神宮では朝夕2回「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」という神さまにお食事をお供えするお祭りが行われている。

日常の生活の延長上の中に伊勢の神宮は位置しているわけです。【中略】全てが自然の運行の中でその季節ごとに必要なものを作り続けて祈り、感謝を込めてそれを神様にお供えするということを続けてきたわけですね。米を作るためには水が必要になります、水源っていうのは山です。豊かな森がなければ命の米を作り続けることも出来ないわけですね。正に、永遠の循環っていうものをここで語ることができると思います」(神宮関係者)

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画像は、YouTubeより

 長い年月の間、日本人の信仰の対象にあった伊勢神宮。少し離れて見てみるとその在り方は山・海・川、自然の循環の中に寄り添うようにその伝統を受け継いできたということが分かる。

 映画の最後に映画監督・北野武はこう締めくくる。

「我々は宇宙の中の一部であって今現実にこの世界にいるけど死んでもどっかにいて、もしかすると意識がどっかにあるかもしんないし、波動で残るかもしれない。【中略】なぜ人間は伊勢神宮とかそういうとこ行ってぽつんと立っただけで心地よくなったり神を意識すんだろう、我々の体の中の原子か分子がなんか感じるんだろうね」

 永遠の循環の中で存在し続ける伊勢神宮を参拝するとき、自然・宇宙の一部として生かされている我々は何を感じ、何をするべきなのか。映画『うみやまあひだ』は美しい映像とともに、そんなことを我々に問いかけてくれた。

動画は、YouTubeより

【上映スケジュール】
<北海道> COMING SOON
<東北>
・青森県 青森コロナシネマワールド  2015年2月21日より
・宮城県 MOVIX利府         2015年2月28日より
<関東・甲信越>
・東京都 109シネマズ二子玉川     2015年4月下旬
     (ニュー オープニング!)
・長野県 佐久アムシネマ       2015年2月7日より
<中部>
・三重県 109シネマズ明和       2015年1月31日より
・岐阜県 大垣コロナシネマワールド  2015年2月21日より
・愛知県 豊川コロナシネマワールド  2015年2月21日より
<関西>
・大阪府 MOVIX堺          2015年2月14日より
・京都府 MOVIX京都         2015年3月7日より
<中国・四国> COMING SOON
<九州> COMING SOON

http://umiyamaaida.jp/

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