爆心地の地獄がありありと蘇る…! 封印されていた長崎原爆投下直後の記録写真が公開される

■71年の歳月を経てよみがえった“ボツ写真”

爆心地の地獄がありありと蘇る…! 封印されていた長崎原爆投下直後の記録写真が公開されるの画像4「おにぎりを持つ少年」 画像は「Wikipedia」より

 山端氏が現地へ到着したのは夜中だったが、夜が明けてからの光景にさらにショックを受ける。

「犠牲者の顔は恐ろしく赤く腫れあがっていた。目は焼けていて、スイカのお化けのようだった。まぶたも赤く腫れあがりめくれて裏側がむきだしになり、目尻は鶏肉の脂身のように黄色かった。目の見えない人々はグループをつくって、両手を前に上げて一緒に行進していた」

「おにぎりを持つ少年」など、日米で有名になった山端氏の写真の数々だが、没収されてアメリカに持ち帰られていた写真の数々が現在、コレクターによってつまびらかにされている。当時実際に写真類を没収した米軍のMP(憲兵)は、計200枚以上の写真を没収してアメリカに持ち帰っており、その中に山端氏の写真が含まれていたということだ。

 アメリカの写真収集家が帰国した当時のMPから譲り受けたこれらの写真の内訳は、山端氏の写真のネガフィルムから現像した24枚のアルバムと、12枚の“ボツ写真”であるという。この“ボツ写真”の12枚については、当時は山端氏の写真であるとは考えられていなかったようだが、現地で使用していたカメラにシャッターの不具合が生じており、その影響で写真上に小さな黒点が写っていることは知られていたため、山端氏の“ボツ写真”であることがわかったのだ。

 そして今回、新たに発見されたこれらの写真がオークションに出展されることになり、未公開の写真の数々が70年の歳月を経て世の注目を浴びることになったのである。

爆心地の地獄がありありと蘇る…! 封印されていた長崎原爆投下直後の記録写真が公開されるの画像5Daily Mail」の記事より

 永遠に封印されたままでもおかしくなかったこれらの写真だが、こうして日の目を見ることになったのは、今の我々に何かを訴える“使命”を持っていたということだろうか。
(文=仲田しんじ)


参考:「Daily Mail」、ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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