最愛の親友をAIとして復活させ、会話を可能にしたプログラマー! 両親や友人ら「驚くほど本人に近い」
親しい人が亡くなった時、 ――特に死が突然であった場合――その人の死を認めることは難しい。しかし急速に進化しているAI(人工知能)によって、親しい人が死んでもその人と別れなくてもいいようになるかもしれない。と言っても、死がなくなるわけではないのだが……。
■突然の事故死を遂げた友人をAIで復活させる
2015年11月、ロシアのAI企業である「Luka Inc.」社の共同創立者兼最高経営責任者ユージニア・クダは、親友かつ同僚のハイテク起業家ローマン・マズレンコを事故で失った。その死はあまりにも突然で、ローマンは火葬されたもののお墓もまだ用意できていない。
そこで彼の死の3カ月後、クダはAIのチャットボット(人工知能を活用した「自動会話プログラム」)として、ローマンを死から蘇らせた。彼女はローマンの全てのデジタル記録(写真、記事、そして膨大なSNSメッセージ)をAIに与え、チャットボット「@Roman」を作り上げた。ローマンを知る人のほとんどは、そのチャットボットはまるで本当のローマンのようだと驚く。
ルカ社のiOSアプリをダウンロードすれば誰でも「@Roman」とタイプするだけで、英語かロシア語でローマンとチャットできる。
ローマンの友人の多くは、クダの作ったチャットボットの「@Roman」と会話を試みたが、それは驚くほど「本当のローマン」との会話に似ていると報告している。しかし、この「@Roman」との会話が「精神的な癒し」になると感じる人もいれば、「不自然で不気味」と感じる人々もいるようだ。
例えばローマンの両親でさえ、「@Roman」には、それぞれが異なる感情を持つと話す。母親は、「このようなテクノロジーがあることを幸運に思います。私の質問に対するローマンの返事を読むと、私は彼についてさらに知ることができたような気がします」と話す。
一方父親は、コンピューター・プログラムと話すことは難しいと認める。「ほとんどの場合、このコンピューター・プログラムは息子のような返事をします。しかし時に間違った返事をして、息子が本当はいないのだという現実を思い知らされて辛い」と語る。
■葬式で故人のAIが配布される日も近い?
「@Roman」の生みの親であるクダは、ローマンを失った辛さに耐えるために、今後も「@Roman」と話し続けると話す。
「“@Roman”は実在の人物ではないけれど、今まで時間がなくて彼に言えなかった事を伝えられる」。そしてクダはこうも言う。「私は天国へメッセージを送っているつもりなの。そしてそれは一方通行でなくて、答えが戻ってくる」。
親しい人の死後、その人と話したいと思うのは人類共通の望みだろう。そのために古くは降霊術やイタコという存在が必要とされた。しかしチャットボットを使えば、より本人とのやりとりに近いかたちの会話が可能となる。親しい人が死んだら、その人のチャットボットをオーダーすることが当たり前となる日も、そう遠くないかもしれない。
(文=三橋ココ)
参考:「Odditycentral」、「The Verge」、ほか
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