北朝鮮・平壌の超巨大建築「滅びのホテル」の内部の様子

北朝鮮・平壌の超巨大建築「滅びのホテル」の内部の様子の画像1
画像は「YouTube」より

 北朝鮮・平壌の摩天楼の中で群を抜く威容を誇る高さ330メートルの「滅びのホテル」とは――。1000億円もの建設費用を投じて建設されたこのホテルに宿泊した者は一人もいない。

■北朝鮮・平壌に君臨する超巨大建築「滅びのホテル」

 北朝鮮の平壌で1987年に建設が始まった超巨大ホテルは、1989年までに開業する予定であったが、計画は頓挫して建設が中断されたまま放置されている。高さ1083フィート(330メートル)以上、105階建てのピラミッド型をしたこの超巨大建築物の正式名称は「柳京ホテル(Ryungyong Hotel)」なのだが、その実態を知った人々からは「滅びのホテル(hotel of doom)」と呼ばれている。

 数百万ドルもの資金が投じられた3000室もの客室があるこのホテルは、長年にわたり建設工事が中断されて内部は荒れ果て、一般公開もされてはいない。

 北朝鮮ツアーを専門とする会社のゼネラルマネージャーとして、ホテルの内部を垣間見る機会に恵まれたサイモン・コッカレル氏は米メディア「CNN」に対し、「ロビーエリアに連れて行かれましたが、そこにはむき出しのセメントがたくさんありました。その後、稼働中の唯一のエレベーターに乗って最上階、確か99階まで行きました」と語っている。

北朝鮮・平壌の超巨大建築「滅びのホテル」の内部の様子の画像2
画像は「YouTube」より

「そこに着くまでに時間がかかりました。それは業務用エレベーターで、ボタンが並ぶ現代的なエレベーターではなかったからです。エレベーターのオペレーターが止まる場所を決めてくれました。最上階で周囲を見て回り、写真を何枚か撮ってから、再びロビーに戻りました」(コッカレル氏)

 コッカレル氏は自身が運営するYouTubeチャンネル「Zoe Discovers」に2021年に投稿した動画で、「滅びのホテル」の実態について視聴者と共有している。

北朝鮮・平壌の超巨大建築「滅びのホテル」の内部の様子の画像3
画像は「YouTube」より

 彼女を案内した北朝鮮の男性はこのホテルを外から見れば素晴らしく圧倒的なシルエットであるが、その内部は“空っぽ”であると説明したという。

 男性は、彼らが行ったのは「一番大きな階」である1階と「一番小さな階」である最上階付近だけだったという。最下階は、中二階があるように見える「3つの洞窟のようなエリア」に分かれていたということだ。

 コッカレル氏はその内部の様子を「世界の終わり」のようだと表現している。

「少し不気味で奇妙ですが、建設現場だったことを考えると、とても静かで、とても清潔でした」(コッカレル氏)

北朝鮮・平壌の超巨大建築「滅びのホテル」の内部の様子の画像4
画像は「YouTube」より

 その時以来、内部の様子を見ていないコッカレル氏だが、遠くからちらっと見た限りでは「間違いなく何かが起こった」と語る。いったい何が起こったというのだろうか。それを確認したくもなってくるが、今の北朝鮮情勢を考慮すれば、外国人やメディアがこの先「滅びのホテル」の内部を直接見る機会は当分なさそうだが……。

 建設工事が再開されることはまずないと思われるが、このまま当分は平壌のランドマークとしてその威容を誇るためだけに存在し続けるのだろうか。現在の国家体制を体現する象徴にならないことを望みたいものである。

参考:「LADBible」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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