太陽より古い!?太陽系を駆ける新たな恒星間天体「3I/ATLAS」の正体とは

先日、TOCANAとかはでも報じた太陽系に猛スピードで飛び込んできた巨大な天体の正体について、ある著名な物理学者が「謎を解明した」と発表し、注目を集めている。その天体の名は「3I/ATLAS」。ハーバード大学の物理学者アヴィ・ローブ氏と学生研究者のショクルーズ・カハロフ氏は、この天体の軌跡をたどり、その故郷を突き止めた。
彼らの研究によれば、この天体は天の川銀河の中でも、年老いた星々が多く存在する「厚い円盤」と呼ばれる領域からやってきたという。直径は約19km、時速24万kmという驚異的なスピードで移動するこの訪問者は、なんと46億歳の我々の太陽よりも年上である可能性が高い。ローブ氏が「いわば、我々の宇宙界隈における『長老』のような存在だ」と語るように、3I/ATLASはまさに宇宙の歴史を旅してきた生き証人なのかもしれない。
観測が進むにつれ、この天体は巨大な「彗星(すいせい)」ではないかという見方が強まっている。国際天文学連合(IAU)も、天体の周囲にガスや塵の雲と短い尾のようなものが見られると指摘しており、ローブ氏も2019年に飛来した恒星間彗星「ボリソフ」と似ていると述べている。
軌跡をたどって見えた「故郷」の風景
ローブ氏らの研究チームは、過去に飛来した恒星間天体「オウムアムア」と「ボリソフ」も含めた3つの天体の起源を探った。天の川銀河は、その中心を軸に回転する平らな円盤のような形をしている。若い星が生まれる「薄い円盤」と、年老いた星々が漂う「厚い円盤」の二層構造になっているのが特徴だ。
3I/ATLASの軌道を逆再生するように計算したところ、この天体は太陽よりも銀河の中心面から大きく上下に離れた軌道を描いて旅してきたことがわかった。これは、天体が銀河の中を長い時間旅するうちに、重力の影響で軌道が乱された結果であり、太陽系よりも古い天体であることを示唆している。その故郷は、銀河の中心面から数千光年ほど離れた、年老いた星々が広がる領域だと考えられている。そこから太陽系にたどり着くまでに、約8億年もの歳月を費やしたとみられる。

異端児「オウムアムア」との違いは何か
一方で、過去の訪問者たちは少し異なる経歴を持つようだ。2017年に観測され、ローブ氏が「地球外文明の探査機かもしれない」と主張して物議をかもした「オウムアムア」は、若い星々が集まる「薄い円盤」の出身らしい。年齢も10億〜20億歳ほどと推定され、3I/ATLASに比べれば「宇宙の若者」といったところだ。

ローブ氏は、オウムアムアが他の天体とは明らかに異なると今も考えている。その理由は、極端に平べったい円盤のような形状、そして惑星や太陽の重力だけでは説明できない「謎の加速」を見せたこと、さらに彗星のようなガス放出が一切観測されなかったことだ。彼は「オウムアムアは、ボリソフや3I/ATLASと比べても異常な存在だ」と指摘し、人工物である可能性を捨てていない。
これに対し、彗星「ボリソフ」は太陽とほぼ同じくらいの年齢で、同じく「薄い円盤」から約17億年かけてやってきた、いわば「同世代」の旅人だと考えられている。
世紀の天体ショーへ、観測体制は万全
科学者たちは、これから1年かけて3I/ATLASの追跡を続ける。今年12月17日には地球に最も近づくが、その距離は約3億6000万kmと十分に安全な距離だ。最接近に先立ち、10月には火星へ約5900万kmまで近づく予定で、これも絶好の観測機会となる。
チリのルービン天文台や、宇宙に浮かぶジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡といった世界最高峰の観測装置が、この謎多き訪問者の姿を捉えようと待ち構えている。科学者たちは、この観測を通じて、天体が予測通りのルートをたどるかを確認し、その組成や起源に関するさらに詳細な情報を得ることを目指している。
はるか遠い宇宙の片隅からやってきた「長老」が、一体どんな物語を我々に見せてくれるのか、世界中の期待が高まっている。
参考:Daily Mail Online、ほか
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2024.10.02 20:00心霊太陽より古い!?太陽系を駆ける新たな恒星間天体「3I/ATLAS」の正体とはのページです。オウムアムア、恒星間天体、ボリソフ、3I/ATLASなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで