>  > 被害者が本気で考えるストーカー対策

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • コメント0
521913185.jpg

~【ジャーナリスト渋井哲也のひねくれ社会学】都市伝説よりも手ごわいのは、事実だと思われているニセモノの通説ではないだろうか? このシリーズでは実体験・取材に基づき、怪しげな情報に関する個人的な見解を述べる~


 警察庁によると、ストーカー規制法の施行後、ストーカーの認知事案(刑罰法令に触れない行為を含む)は、増加したという。そんな中、あらためてストーカー対策を考える「ストーカー対策研究会議」が12年11月に起きた神奈川県逗子市のストーカー殺人事件の遺族である兄(43、芝多さん/仮名)の呼びかけによって、11月15日、都内で初めて開かれた。

 彼は講演でこう訴えた。「(逗子ストーカー殺人事件の)加害者は犯行後、自殺した。厳罰化を求める運動もあるが、加害者家族を恨んでもしょうがなく、次の被害者をどう救うのかしかない」。これまで議論されなかった「加害者の更生プログラムの考慮」という、斬新な研究会議の発足の提案がなされた――。


IMG_10011208.jpg
被害者遺族の芝田氏

■逗子ストーカー殺人事件

  逗子ストーカー殺人事件は、12年11月6日に発生した。加害者(A・仮名)は被害者を殺害後、自殺している。
 
 Aと被害者は04年ごろから交際していたが、2年ほどで別れた。その後、被害者にAからのメールが送られるようになった。08年夏、被害者が結婚し、逗子市に転居。Aには住所や新しい姓を知らせていなかったが、11年4月には「殺してやる」などの脅迫メールが1日80~100通届いたため、被害者は警察に相談。Aは6月に脅迫罪で逮捕された。
 
・被害者の新しい姓を読み上げてしまう失態

 Aに対して脅迫罪の逮捕状を執行する際、神奈川県警は被害者の新しい姓と住所を読み上げてしまった。こうして、Aは被害者が結婚したこと、逗子市に引っ越しをしたことなどを知ることになった。

 執行猶予付きで保護観察となっていたAは、この間にも、被害者にメールを送り続けていた。被害者も「メールでまで変えてしまうとかえって逆上しかねない」「相手の様子は知りたい」と思い、アドレスを変えなかった。(※保護観察所は「特別順守事項」として、Aに対し被害者とのメールを含めた接触を禁止していた。しかし、順守事項の内容を加害男性以外に知らせる制度がなく、警察や検察、被害者はその内容を知らなかった。さらに、当時のストーカー規制法では、電子メールでの連続送信については、明文による禁止規定がなかった。これについては、迷惑防止条例で禁止規定がある府県はあったが、神奈川県にはなく、事件後に改正が行われた)

 保護観察中にAから送られてきたメールの内容は、これまでの内容とは違い「かつて婚約をした、慰謝料を支払え」など、金の話に変化していた。しかし、婚約した事実はなく、芝多さんは「慰謝料のメールになった時点で、お金の問題になったと思った。油断をしていた」と話している。

 その後Aは、探偵を通じて、被害者の具体的な住所を入手。探偵事務所からさらに調査依頼を受けた調査会社の実質経営者が逗子市の市役所を通じて、被害者の女性が住んでいるアドレスを入手したと考えられている。こうして入手した情報にもとづいて、加害者は事件を起こす。

 これについて、芝多さんはこう語った。

「(逮捕時の氏名の読み上げたこと、当時は電子メールの連続送信では逮捕できないこと、保護観察中のメールでの接触の禁止について情報共有していないこと)これらの3つの点がなくても結局、事件は起きたのではないか。だとすれば、警察批判でいいのか? もっと他の行政機関にも訴えていく必要があるのではないか。また、厳罰化だけでは事件は止められない」

 では、どうすればいいのだろうか? 芝多さんは「加害者のことを知る必要がある」と語る。

コメントする

お名前
コメント
画像認証
※名前は空欄でもコメントできます。
※誹謗中傷、プライバシー侵害などの違法性の高いコメントは予告なしに削除・非表示にする場合がございます。