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石川翠

PART1】【PART2

 2011年3月11日の東日本大震災と、その後の東京電力福島第一原子力発電所の現状をめぐる懸念は、わたしたちに放射能の脅威に対するある種の自覚をもたらした。だが、多くの人々はいまだ、放射能汚染(radioactive contamination)が地球規模の災厄であることに気づいていない様子だ。

 以下のリポート「世界でいちばん放射線量の高い場所10」は、放射性核種による汚染問題にとり組むNGO、ブラックスミス・インスティテュート(The Blacksmith Institute)が2010年に周知した報告などをもとに、そこに筆者が多少手を加えたものである─。

 ではいざ、白昼の地獄めぐりへ。もろともに、この星の清浄な明日を夢見て…。

■第4位 ポリゴン(セミパラチンスク核実験場跡) カザフスタン/The Polygon, Kazakhstan

Semipalatinsk02.jpg
核実験場跡地

 かつて旧ソ連がセミパラチンスク核実験場(nuclear weapons testing)として使用していた広大な土地は、現在、カザフスタンに編入されている。約18000平方キロメートル(四国の面積に相当)にも渡るこの土地は、無人地帯だとの理由から、原爆開発の一大拠点にあてがわれたが、実際にはおよそ70万の人々が住み着いていた。実験場の郊外に建造された街が、秘密都市「セミパラチンスク21」、現在のクルチャトフ市だ。

 別名、閉鎖都市とも呼ばれる秘密都市(ZATO)を、旧ソ連は第二次大戦後の1940年代後半からひそかに建造しはじめた。地図に所在がなく、近隣都市の名の後ろに数字をふった暗号名で呼ばれていた。そこには核開発に特化した施設、また軍事上の重要な拠点などがあり、こうした街には外国人はもちろん、一般国民や地元民でさえ立ち入ることが禁じられる場合があった。

 秘密都市のほとんどは旧ソ連崩壊後に開放されたが、現在でも40あまりが存在し、未確認のものがなお15ほどあると言われている。

 セミパラチンスク核実験場は1949年8月29日、旧ソ連が、その最初の核爆弾「RDS-1」(ジョー1)を爆発させた場所であり、また地球上で最も集中的に核爆発実験が行われた土地でもある。1949年から1989年にかけての40年間に、敢行された実験は実に456回を数える。

Semipalatinsk03.jpg
廃墟と化した実験場跡

 旧ソ連崩壊に伴い1991年、正式に閉鎖されたが、ここでテストが続けられたこと、またそれによる施設労働者と地域住民の放射線被曝(radiation exposure)の深刻さは、その日まで政府により厳重に隠されてきた。科学者は推計20万の人々が直接、放射線の影響を受けたものと考えている。

 敵国を壊滅させたいという欲望は、かつて旧ソ連の国民だった多くの人々の頭上に、核汚染(nuclear contamination)という名の幽霊を招きよせてしまったようだ。

 ご参考までに動画「わが故郷:核基地セミパラチンスク」(My home: nuclear base Semipalatinsk)から、3つのエピソードを選んでみた。百聞は一視聴? に如かず。一見のどかそのものに思える中央アジアの草原地帯を抱きすくめた、現在も進行中の冷戦の呪われた遺産…。どうか、勇気をふるってご覧ください。


動画は「YouTube」より

動画は「YouTube」より
動画は「YouTube」より


■第3位 マイルースー キルギスタン/Mailuu-Suu, Kyrgyzstan

 人口わずか3万の街マイルースー(Mailuu-Suu) は長らく、アジアのごくつつましい片隅に過ぎなかった。しかし2006年に、ブラックスミス・インスティテュートがここを「世界でいちばん放射線量の高い場所」の1つに挙げて以来、にわかに世界の注目を集めている。だがそれは、核爆弾工場や原発のためではない。マイルースーがその両者に不可欠な、旧ソ連のウラン鉱山(uranium mining)とその処理施設(processing facility)の一大採掘拠点だったためだ。

 1947年から1967年まで、多くの人々がここでウラン鉱石の採掘と精練に従事した。その後、残された放射性廃棄物は、街周辺の23カ所に埋められたが、現在でも膨大な量のウラン鉱石のボタ山がいくつも残されたままになっている。

 さらに、この地域はたびたび地震に見舞われるため、その度に、封じ込められていた廃棄物が顔を出し、一部が川などに流れ出す可能性が捨てきれない。土壌と水の汚染は少なくとも23,000人の住民に影響を与えていると考えられるが、川に流失した場合、数十万から数百万の人々が汚染された水を使う可能性があるという。

 今後、この地に住む人々の頭上に、核爆弾が炸裂する事態はまずはあり得まい。けれどもその代わり、彼らは地震が起こるたびに、地中からあふれ出る放射性降下物を恐れながら生きていかねばならないのだ。

 ご参考までにブラックスミス・インスティテュート編集の、現地の人々の日常を綴ったスライド・ショーを紹介しよう。私たちと顔形の変わらない草原の民族の苦境を思うと、やるせない思いがする。

動画は「YouTube」より

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