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サエキけんぞう

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ラリー遠田

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笹公人

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サエキ:今は何でもデジタル化できると思われているじゃないですか。ソフト・シンセでアナログ・シンセの音もシミュレーション可能だって思いこんじゃっているわけ。デスクトップのプラグインで編曲をすべてやろうとしてるんですけど、それはホンの一部の音色、音楽しかできないんです。解像度の低い写真みたいな感じです。

 超常現象的なことも、面倒なことを避ける合理的な判断とやらで、とりあえず切り捨てられたりしている。でもそれは解像度の低いものしか見ていないのと同じことなんです。確かにたいていの人は、スプーン曲げられないですよ。でもユリ・ゲラーから40年以上もたって、今ではスプーン曲げの存在の客観性は確立されたといってもいいと思います。カドがたってめんどくさいからいわないだけでね。アナログ・シンセからテクノポップができたように実際は魔術から生まれてるんですよ。流通音楽の大元の音色自体はデジタルでできてないんです。

 本当に野山を歩いたことがある人は、自然がデジタルシンセ的な解像度の低いものでは再現できないことを知っている。「エセ再現」でもある程度は楽しめるんですけど、それは本物とは全然違う。そんなことをわきまえてるかどうかということなんですよ。そうして考えると、今の世の中で流通している知識は、大まかな常識、ポテンシャルの低い共通認識が多いのかな?と思っていて。

 UFOという存在も、厳密な定義不能のアナログ側にある。YouTubeとかでいろいろ不思議なものが映っている動画が出ていて、いかにもウサン臭いものだと、いまさら一刀両断されてしまう。でもそんな中にも「これは本当くさいな」っていうのもあるような気がする。どれかは自分の口からはいえませんけどね。デジタルは、雑で無用な仕分けをしてしまう。真実が隠蔽される。そんな状況に対してバランスを取る意味で今回こうやって対談に出てきているんです。

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:サエキさんは今でもレコードで聴く派ですか?

サエキ:聴きますよ。もちろん。僕らはアナログの体験が強烈なのでMP3ファイルで聴いても疑似体験できますけどね。女の子を写真だけで見てオナニーできるかどうかっていうと、写真でしか見たことない人と実物を見たことがある人と認識に大きな違いがおきますよね。それと同じ。アナログを聴いた人間は、デジタル・ファイルの体験を含んだ認識になる。

:デジタルというと、初音ミクにも言霊って宿ると思いますか? この前、その問題を話していたんですけど。時代がここまで来ると宿りつつあるんじゃないかと秋山(眞人)さんは言っていました。

サエキ:物には霊が宿ると思ってます。アナログ・シンセがそうでしたからね。初音ミクはデジタル存在ですが、存在の総体がファジーに大きくWEB界、テクノロジー界に広がっていて、どうもアナログ的な霊へと進化していくかもしれませんよね。

:例えば、「ドラえもん」の声優交代のときに、大山のぶ代さんの声をサンプリングしてドラえもんの声をやり続ければいいじゃないか、みたいなことを言う人がいて、そのとき一緒に飲んでいた高橋名人が「それじゃドラえもんに魂が宿らねえだろ!!」って激怒されて、名人いいことを言うな、と思ったことがあります。たとえ視聴者の念が画面上のドラえもんに宿ったとしても、やっぱりだいぶ違いはあるでしょうね。アイボとかも、飼い主の念は簡単に宿るでしょうけど、本物の犬のようなオーラは出せませんからね。

サエキ:サンプリングは、レートが低い。やっぱ霊的なものを代行するまでいかない。磁気テープはデジタルでもアナログ的。だからスタジオでは霊が出る。今はあまりにもデジタルコピー的なものが氾濫しすぎていて、劣化したサンプリング現象が世の中の全てだと思っている若者が増えてしまった。それは大きな問題。まずはデジタルという触れ込みの嘘に気づき、アナログの裾野が見えない凄さ、それが本物の魔術に繋がってることを見直さないと。軽いファイルの劣化コピーばかりの環境の中で子供を育てて、大人も頭脳が萎縮してるんですね。
(文=ラリー遠田)

笹公人・サエキけんぞう UFOと音楽対談記事まとめはコチラ

●笹公人
現代歌人協会理事、大正大学客員准教授、文化学院講師、NHK学園講師、日本文藝家協会会員。2004年に未来年間賞を受賞。『念力家族』(インフォバーン)、『念力図鑑』(幻冬舎)、『抒情の奇妙な冒険』(早川書房)、『笹公人の念力短歌トレーニング』(扶桑社)他多数出版。2015年より、NHKEテレにて連続ドラマ「念力家族」が放送。テクノポップユニット「宇宙ヤング」で音楽活動も行っている。

●サエキけんぞう
幅広い活動を行なうマルチ・ミュージシャン。ハメルンズの活動を経て、80年代初頭に窪田晴男らとパール兄弟を結成、ソロでも精力的に活動を展開。特異なキャラクターと豊富な音楽知識で80年代の邦楽シーンにおいて異彩を放った。作詞家として、モーニング娘。の「愛の種」ほか、多数の作詞を手がけているほか、音楽評論、エッセイスト、プロデューサーとしても幅広く活躍、立教大学、獨協大学などで講師もつとめる。『歯科医のロック』『ヌードなオニオン』(河出書房新社)、『ロックとメディア社会』(新泉社)、『ロックの闘い 1965?1985』(シンコーミュージック)他多数出版。

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