「週刊少年ジャンプ」の名付け親・角南攻元編集長が最期まで書き綴った不思議体験の全貌とは?
――「世界の謎と不思議に挑戦する」をコンセプトに掲げ、UFOからUMA、都市伝説、陰謀論……と、さまざまな不思議ジャンルの話題で、読者に驚きと感動を与えてきた学研「ムー」。ここでは、そんな「ムー」を操る三上丈晴編集長が厳選した“マストブック”を紹介しながら、世の中の不思議に深く触れていただきたい。
とにかくハチャメチャな人だった。あの「週刊少年ジャンプ」の名付け親にして、「週刊ヤングジャンプ」(共に集英社)の名物編集長、角南攻さんが亡くなったのは2014年8月のことだった。突然の訃報に接し、思わず言葉を失ったが、信じられない思いでいっぱいだった。今でも、どこから「バカヤロー!! テメーよー!!」という声が聞こえてきそうだ。
亡くなる直前まで筆を執っていたと聞く。原稿は「月刊ムー」に連載していた『スナミちゃんの超能力研究室』だったらしい。これは不思議なことが大好きだった角南さんが特別な思い入れで書いていた作品で、まったくの別件でお仕事をお願いした際、あたかも返り討ちにあうかのように、連載を約束させられてしまったことを覚えている。
角南さんは幼いころから作家志望で、現役のころも密かに刑事ドラマの脚本やマンガの原作を書いていたという噂もある。大好きな超能力をテーマに毎回、思う存分、自らが体験した不思議話を書きつづっているときは、さぞかし楽しかったことであろう。
ある意味、絶筆ともなった連載を一冊にまとめたのが本書である。マンガ界の裏話や都市伝説「口裂け女」の意外な真相を含め、超能力ブームの仕掛けと現場のスリリングなエピソードを語りつくしている。
奇しくも、最後の原稿のテーマは「生まれ変わり」だった。読むと、本来は別のテーマで書く予定だったえらしいが、どうしても転生について書きたい衝動に駆られたのだとか。以前、旅行したギリシアで前世の記憶ともいうべき恐怖と感情に激しく心が揺さぶられた体験を書き記しているのだが、ひょっとしたら次なる来世への旅立ちに関する予感があったのかもしれない。
何度も大病をしては臨死体験を繰り返し、その度に奇跡的に復活した角南さんである。「もう死は怖くない」と語っていたことを思い出す。あの世でも、きっと大暴れしていることだろう。先に逝ったマンガ家の方々とマンガ談義、いやマンガを描かせているのかもしれない。
いや、じっとしていられない角南さんのことである。天国のことを知りつくして、もうすでにこの世に戻ってきて、新たな人生を歩んでいる可能性すらある。いずれにせよ、どこかでスナミちゃんは今も生きている。そう確信する次第である。合掌。
●三上丈晴(みかみ・たけはる)
1968年、青森県生まれ。学研「ムー」の5代目編集長。筑波大学を卒業後、学習研究社(現・学研)に入社。「歴史群像」編集部を経て、入社1年目より「ムー」編集部に所属。
●「ムー」
出版社:学研パブリッシング/発売日:毎月9日/税込価格:670〜690円/発行部数:7万部/概要:「世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」として、UFOや超能力、UMA、怪奇現象、オーパーツ、陰謀論など、オカルト全般を追求する情報誌。
公式HP<http://gakken-publishing.jp/mu/>
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2024.10.02 20:00心霊「週刊少年ジャンプ」の名付け親・角南攻元編集長が最期まで書き綴った不思議体験の全貌とは?のページです。「ムー的書籍探訪」、三上丈晴などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで