米紙「日本はカルト宗教『日本会議』に操られている」「安倍はトランプと同じ」

 とはいえ、6月9日に宗教法人「生長の家」は、「与党とその候補者を支持しない」と公式に発表。今年5月に出版され話題を呼んでいる『日本会議の研究』(扶桑社)が指摘した生長の家の元信者が「日本会議」の中核メンバーということに対しても、「その事実をまったく把握していない」との態度を示し、現在の「生長の家」は政治活動から撤退していることを強調している。

 つまり、元「生長の家」メンバーが現在も在籍していることを根拠に「日本会議」を「カルト宗教」であると断じるのは少々早合点なのではないかと考えられるのである。

 これに対し、政治に詳しい人物はこう語る。

「日本会議は献金団体としては優秀な面もありますが、集票活動は大して行っていません。そもそも一枚岩の組織体制すらつくることができていない団体なので、メンバーの中には『活動します』と言いながらまったく活動しない怠け者が山のようにいて、間違ってもカルトとは表現できないようなユルい団体なのです。……つまらないかもしれませんが、これが実態です。ゆえに、学会と比べると段違い・桁違いに影響力がありません。もちろん、まったく影響がないとはいえませんよ。でも、頑張って頑張ってやっと武道館に1万人を集められる程度の組織ですから、選挙活動にはほとんど影響していないとみていいでしょう」

 ほかにも政治家秘書など政治に詳しい人物数名に話を聞いたが、総じて日本会議は日本の政治方針に影響を全く与えていないとはいえないが、ここまで話題にされるほど問題視すべき団体でもないという答えが返ってきた。

 果たしてこの「日本会議ブーム」はいつまで続くのだろうか? 今回紹介した「The Daily Beast」は、『日本会議の研究』と朝日新聞を主な情報ソースとして記事を執筆しているきらいがあるが、今後もこのようにして海外で日本以上に過激な“曲解・煽り”情報が蔓延していくのだろうか?

 7月10日には、日本会議のメンバーとされる三原じゅん子氏が「池上彰の参院選ライブ」で「神武天皇が実在の人物であったと考えてもいい」と発言し物議を醸しているが、これも文意を汲み取れば、「たとえ神話であっても神武以来とされている日本の歴史をふまえた上で憲法改正に望む」との発言であり、保守派の中では当たり前の発言。憲法の正当性の根拠として歴史に優位を置く考え方は、保守主義の父として知られるイギリスのエドマンド・バークが提唱した「時効(prescription)」の概念などが元になっており、保守にありがちな発言なのだが、こうした発言もおそらく海外では“カルト的”だと伝えられることになるのだろうか……?

 日本の誤った印象が根付かないうちに少なくとも海外での「日本会議ブーム」が去ってくれればいいのだが……。
(編集部)

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