ドイツ政府が隠蔽! ナチス残党が設立したチリの超・過激「奴隷制コミューン」の実態とは? ガレンベルガー監督インタビュー
―― コロニア・ディグニダはナチスの残党がつくった施設として知られ、日本での公開にあたっても「残党ナチスが潜む極秘要塞」といった言葉でナチスとの関わりの深さが強調されています。一方で、劇中では特にその点はあまり深く触れられていないですよね。それよりはピノチェト政権とのつながりや、どんな暮らしぶりであるかというほうに焦点が当てられています。これにはどういった意図があるのでしょうか。
ガレンベルガー コロニアは確かにナチスの残党がつくっていて、ヴァルター・ラウフがいたことなどは有名です。でも今回の『コロニア』では、あくまで70年代のコロニアで起きていた犯罪について描きたかった。だからそこに逃げてきた人たちが20年前に犯した犯罪の部分は、最低限にしています。それはそれでもちろん興味があるトピックなので、また別の映画が作れる題材です。
―― 前作『ジョン・ラーベ ~南京のシンドラー~』も今回の『コロニア』も、過去に現実に起こった、ある種の極限的な状況を題材にされています。
ガレンベルガー 時間とエネルギーを注ぎ込んで映画をつくるので、自分自身が大事に思える題材にしなければならない、という考えはあります。自分の傾向として、苦しんだ人々のストーリーであり、それ自体が歴史上においてあまり有名ではないために、自分が描かないと忘れられてしまうのっではないか、と思うものを選ぶところはある。フィルムメーカーとしてせめてできることが、そうした歴史上の出来事に焦点を当てて、皆さんに知ってもらうことなのではないか、と思っています。
―― 実際に今年2月にドイツで『コロニア』が公開されて、その使命は果たされたのでしょうか?
ガレンベルガー ドイツの外務省はこれまでずっとコロニア・ディグニダでの出来事を隠していました。それが、この映画が公開されたことで、公的文書を開示せざるを得なくなり、ドイツ政府が当時どの程度関わっていたのかという捜査も始まりました。私も政府の使節団として一緒にチリに行き、ミシェル・バチェレ大統領に会って「チリで劇場公開をしたい」と言ってもらった。ドイツの政治は、少しずつ変わりつつあります。
■作品情報
『コロニア』
監督/フロリアン・ガレンベルガー 出演/エマ・ワトソン、ダニエル・ブリュール、ミカエル・ニクヴィストほか。
配給/REGENTS、日活
公開/9月17日より全国公開
あらすじ
キャビンアテンダントのレナ(エマ・ワトソン)は、フライトでチリを訪れ、現地にいる恋人のジャーナリスト・ダニエル(ダニエル・ブリュール)と落ち合う。数日間の逢瀬を楽しむが、その最中に軍事クーデターが勃発。ダニエルは反体制勢力として捉えられてしまう。拷問のために彼が連れて行かれた「コロニア・ディグニダ」は、元ナチス党員パウル・シーファー(ミカエル・ニクヴィスト)が、暴力で住人を支配する場所だった。ダニエルを救うため、レナは単身でコロニアに潜入。その異様な生活を目の当たりにする。果たして二人はここから逃げ出せるのかーー。
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2024.10.02 20:00心霊ドイツ政府が隠蔽! ナチス残党が設立したチリの超・過激「奴隷制コミューン」の実態とは? ガレンベルガー監督インタビューのページです。ナチス、コロニア・ディグニダなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで