斬首や強制性転換も…本当にあった冷酷非道な社会実験ワースト10

 実験には「科学や医学の進歩のため」という大義名分がある。しかし、どこまでが人道上許されるのだろうか? 現在各国には、実験が行われる際の倫理的規範がある。しかし、過去には何のルールもなく、冷酷な研究者はどんな実験もできたのだ。かつて行われた「10の邪悪な社会実験」をここでご紹介しよう。

斬首や強制性転換も…本当にあった冷酷非道な社会実験ワースト10の画像1画像は「YouTubes」より引用


10. モンスター・スタディ(The Monster Study):1939年

 米国アイオワ大学の心理学者ウェンデル・ジョンソン博士は、吃音のある22人の孤児を使い冷酷な実験を行った。孤児たちは2つのグループに分けられ、言語療法を受けさせられた。1つ目のグループの子どもたちは褒められ、肯定的な言葉をかけられる。しかし、2つ目のグループの子どもたちは否定的な言葉しかかけてもらえず、けなされ、「障がい者」とも言われた。

 その結果、否定的な言語療法を受けたグループの孤児たちは、ひどい悪影響を受けた。そのグループの子どもたちはいつも怯え、成績は下がり、一生治らない言語障害を起こした子もいた。2007年、成長した6人の元孤児たちはその実験の責任者であったアイオワ大学に訴訟を起こした。アイオワ大学は謝罪し、彼らの生涯にわたる精神的被害に対し、92万5000ドル(約1億4000円)の慰謝料が支払われた。

9. スタンフォード監獄実験(Stanford Prison Experiment):1971年

 この悪名高い実験は、米国スタンフォード大学のフィリップ・ジンバルド博士によって行われた。博士は24名の心身ともに健康な男性を選び、看守と受刑者の2グループに分けた。看守役の男性には鉄棒とサングラスが与えられただけで、特に指示はされなかった。受刑者役の男性たちは囚人服を着せられ、脚には鎖を巻かれ、名前ではなく番号で呼ばれた。

 二日目から看守役はより看守らしくなり、何の理由もなく囚人役を虐待し出した。受刑者は過酷な運動を命じられたり、脱衣のうえシラミ駆除薬を散布されたり、トイレを制限されたりと自尊心を失うような扱いを受けた。数日後、この実験に、より真実味を与えるために、実際に刑務所を訪問をしている牧師が、この「スタンフォード監獄」を訪れた。

 牧師はここの異常な雰囲気に驚愕し、実験中止を博士に強く訴えた。その結果、2週間の予定であった実験は、わずか6日間で中止されることとなった(しかし看守役は実験続行を強く希望したという)。

 後にジンバルド博士は自分も実験のあまりのリアリティにモラルが麻痺し、危険性が判断できなくなっていたことを認めた。この実験では人間は与えられた役目に簡単に同化すること、また強い権力を与えられた人間と従属する人間が狭い空間に閉じ込められると、理性の歯止めが利かなくなることが証明された。

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