サイコパス的な性格を持つ人々はゴスペル好きの傾向? 好きな音楽と性格の意外な関係
2019年8月、科学誌「Psychology of Music」に掲載された論文によると、被験者379人を対象にそれぞれの性格と、音楽や映画の好みを照合する調査を行ったところ、研究者らも驚愕のショッキングな真実が明らかになったという。
内向的な人物は、騒がしい音楽や刺激の強い映画を好まないという予想通りの結果が出た一方で、サイコパス的な性質を持つ人々は、意外にもカントリー音楽やゴスペルといった保守的な音楽を好む傾向にあることが判明。この研究結果は、”宗教的な音楽を好むことは望ましいことであり、健康な精神を持つ証である”という伝統的な価値観を覆すものとして、 世間に大きな衝撃を与えた。
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※ こちらの記事は2019年10月8日の記事を再掲しています。
サイコパスの音楽の好みが最新の研究で判明した。予想外の結果に研究者も驚愕しているという。
今年8月13日、科学誌「Psychology of Music」に掲載された論文を知的情報サイト「Big Think」(10月3日付)が紹介している。米・ワシントン大学の研究者らが、被験者379人の音楽と映画の好み、そして5因子性格検査(Personality Inventory DSM-5)を照合した結果、意外な事実が浮かびあがった。
音楽の好みは先行研究に則った6つの要素(激しい/反抗的、アップビート/伝統的、エネルギッシュ/リズミカル)と、5つの要素(メロウ、控え目、洗練、激しい、現代的)に分解された。
5因子性格検査は、Neuroticism(神経症傾向、情緒不安定性)、 Extraversion(外向性)、 Openness(開放性、知性)、Agreeableness(調和性)、Conscientiousness(勤勉性)という5つの特性から大まかな性格を記述するものだ。
これらの因子に対応する音楽の好みの傾向性は、たとえば開放性ならば、多様な経験に対する好奇心と鑑賞力に特徴づけられ、先進的な音楽ジャンルを好み、外交性はペースの速い、エネルギッシュな音楽を好み、共感と強力性に特徴づけられる調和性は、パーティーミュージック、ポップ、ヒップホップを好むなどである。
極めて引きこもりがちな人は、音楽ではエネルギッシュ、アップビート、パーティーミュージック(リズミカル)は好まず、映画ではスリルホラーなど激しい、刺激の強い映画は好まない、という結果は予想通りだったが、問題はサイコパス的な性格を持つ人々の好みだ。
意外なことに、これまでの研究とは異なり、ヘビーメタル、パンク、オルタナティブロック、ヒップホップなど“問題のある”音楽ジャンルは、パーソナリティ障害と関係ないことがわかった。研究者らによると、これらの音楽ジャンルはすでに主流派としての地位を獲得しているため、反動性が弱まっているのではないかとのことだ。
研究者らを驚かせたのは次の発見だ。神経症・敵意・常軌を逸した性格の人物は、カントリー音楽やゴスペルなど保守的な音楽を好む傾向にあったのである。歴史的に宗教的な音楽を好むことは望ましいことであり、健康な精神を持つ証だとされてきたため、ショッキングな結果だと研究者は語っている。
サイコパスは「大胆さ(boldness)」、「脱抑制(disinhibition)」、「卑劣さ(meanness)」の3つに特徴づけられる。今回の研究では、このうち大胆さはR&Bやパーティー音楽などリズミカルな音楽に対応しており、先行研究と同じ結果だったが、脱抑制・卑劣さは激しい音楽や反動的な音楽との相関がなかった。また、サイコパス的な特徴の人物がホラー映画を好むということもなかったそうだ。
ということは、あなたがヘビメタやレイブを好きなら、とりあえずサイコパスではないかもしれない。ただ、音楽と性格の相関関係は診断推論に使えるレベルではないため、これを使ってサイコパス探しをすることは控えるべきとのことだ。
とはいえ、自分の性格と照らし合わせて、参考までに楽しむのは問題ないだろう。
参考:「Big Think」、ほか
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