レプティリアンに関係…?「ウバイド・リザードマン」他、古代文明の叡智を秘めた驚くべき遺物たち【後編】

 ヒトをその他の動物から分かつ特徴の1つが道具の使用である。我々の祖先は遥か昔から各種の道具を作り、使ってきたのだが、歴史系メディア「Ancient Origins」がその中でもきわめて興味深い古代の遺物を紹介している。

■トロンハイムの太陽の馬車(紀元前1700~500年頃:デンマーク)

 トロンハイムの太陽の馬車(Trundholm Sun Chariot)は1902年にデンマーク・シェラン島の沼地から発掘された青銅と金の工芸品である。

トロンハイムの太陽の馬車 画像は「Wikimedia Commons」より

 この工芸品は北欧青銅器時代(紀元前1700~500年)に属すると言われているが正確な年代はまだ特定されていない。

 車両は青銅の馬と片面に金の薄いシートがプレスされた青銅の円盤、そして同じく青銅で作られた6つの4本スポークの車輪で構成されている。

 トロンハイムの太陽の馬車は、儀式に用いられていただけでなく、カレンダーとして機能していた可能性も示唆されている。コペンハーゲン大学の考古学教授、クラウス・ランズボルグによれば、黄金の“昼”側は太陽年の3分の1に関連する寸法を持ち、一方、中央の大きな同心円の“夜”側は太陰暦の6カ月に関連付けられた寸法を持つと説明し、したがって「太陽の馬車の昼側の太陽暦と夜側の月暦を参照しており、これは完璧な計算に基づくと思われる」と結論づけている。

■ヤコブの骨棺(紀元1世紀:イスラエル)

 ヤコブの骨棺(James Ossuary)は歴史上最も貴重な聖書の遺物であると一部では信じられている。この石灰石の箱にはイエスの弟と称される人物の骨が入っていたと言われており、それが正しければ、イエス一族の墓との最初の物理的なつながりとなる。

ヤコブの骨棺 画像は「Wikipedia」より

 ヤコブの骨棺には「ヨセフの子ヤコブ、イエスの兄弟ヤコブ」と書かれたアラム語の碑文が刻まれている。

 骨棺は一枚の石灰岩から彫られており、1世紀のパレスチナのユダヤ人が使用した典型的な埋葬箱で、当時、遺体は洞窟に1年間放置され、その後に骨が集められて骨棺に納められていた。

 ヤコブの骨棺は、ここ数十年で最も物議を醸した偽造事件を裁判を招いている。イスラエル古遺物庁(IAA)は法廷で、これらの品物が古美術収集家のオデッド・ゴラン氏によって偽造されたものであることを証明しようとしたが、裁判では敗訴した。

 その後、IAAがヤコブの骨棺の所有権を取得しようと試みたが、それも失敗に終わった。また骨棺は所有者に返される前にイスラエル政府によって破壊されたとも言われている。

■ディヴィジェベイブのフルート(紀元前5万8000~4万3000年:スロベニア)

 人類最古の楽器とは――。それは1995年にスロベニアの洞窟で発見されたディヴィジェベイブのフルート(Divje Babe flute)であると考えられている。

ディヴィジェベイブのフルート 画像は「Wikimedia Commons」より

 このフルートはホラアナグマの大腿骨の破片で、6万年から4万3000年前のものと推定されている。骨には間隔をあけて穴が開けられているのだが、ネアンデルタール人が音楽を演奏していた可能性を受け入れられなかった科学者らは、完璧な間隔で整然と彫られた穴は実際には動物が噛んだ骨片の結果であると説明した。

 しかしネアンデルタール人にも洗練された文化があったことが徐々にわかってきており、ディヴィジェベイブのフルートは実際に楽器であるというコンセンサスが高まっている。

■ウバイド・リザードマン(紀元前5000年:イラク)

 20世紀初頭、考古学者たちがイラクのテル・アル=ウバイド遺跡で発掘調査をしていた際に、頭部がトカゲの人物像を複数発掘した。前後に細長い頭部にはアーモンド形の目、トカゲのような突き出た鼻があり、 ヘルメットをかぶって肩に何らかのパッドを入れているように見える像もあった。

ウバイド・リザードマン 「British Museum」より

 この時代の正義と統治の象徴である杖または王笏を持っている像などのいくつかのバリエーションがあるのだが、最も奇妙なのは乳を飲む赤ん坊を抱く女性の像で、その子供もトカゲのような風貌で表現されている。

 ウバイド文化は紀元前5500年から4000年の間にさかのぼるメソポタミアの先史時代の文化であるが、ウバイド人の起源はまだよくわかっていない。

 彼らは日干しレンガの家に住む大きな村の集落に住み、建築、農業を発展させ、灌漑を利用して土地を耕作していた。

 なぜトカゲの頭部の人物像が作られたのか。ひょっとするとレプティリアン(爬虫類人)に関係があるのだろうか。

■ヴィーナス小像(紀元前3万年~1万年:ヨーロッパ)

 ヴィーナス小像は、旧石器時代に作られた先史時代の女性の小像のコレクションに与えられた総称で、主にヨーロッパで発見されているが、シベリアでも発見されている。

ヴィーナス小像 画像は「YouTube」より

 紀元前3万年から1万年前にさかのぼる200体以上の小像がこれまでに発見されており、それらはすべて、大きな胸、尻、腹部、腰、太ももを備えた曲線美の体など、上部と下部が細くなった身体的特徴が表現されている。

 頭のサイズは比較的小さく、詳細が欠けていることが多く、ほとんどの手と足が欠けている。中には妊婦中であることを表現しているように見えるものもある。

 小像は軟石(ステアタイト、方解石、石灰岩など)から骨、象牙、粘土に至るまで、あらゆる種類のさまざまな素材から彫られている。

 ヴィーナス小像という名称は古代ギリシャの愛の女神、ヴィーナスにちなんでいるのだが、小像が女神であるという解釈以外にも多くの説がある。

 これらの小像の機能と重要性に関して、考古学および古人類学の文献にはかなりの多様な意見が存在し、提唱されているさまざまな仮説には、豊饒のシンボル、自画像、石器時代の人形、実際の女性の写実的な描写、女性の美しさの理想的な表現、宗教的なアイコン、母なる女神の表現、さらにはポルノ表現であったとする説もある。

参考:「Ancient Origins」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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