“デジャヴ”の反対「ジャメヴ」とは?さらに不思議な心理現象の秘密

イメージ画像 Created with DALL·E

 私たちの記憶システムは、驚くべき不思議な力を持っている。「デジャヴ」という現象は、未知の状況を過去に経験したかのような錯覚を引き起こす、不気味な心理メカニズムである。誰しもが一度くらいは体験したことがあるのではないだろうか。しかしこのデジャヴには反対の現象が存在するという。一体どういったものなのだろうか。

記憶システムへの興味深い「窓」

 英セント・アンドリューズ大学の心理学上級講師アキラ・オコナー氏と、フランスのグルノーブル・アルプ大学認知神経心理学教授のクリストファー・ムーラン氏ら研究チームの研究により、デジャヴは記憶システムの興味深い側面を明らかにした。脳内の「馴染み」を検出する部位が現実と同期しなくなることで生じる現象であり、記憶システムの「事実確認」のような役割を果たしている。

 さらに興味深いのは、デジャヴの正反対である「ジャメヴ」という現象である。これは、本来よく知っているはずのものが突然見知らぬものに感じられる、不思議な心理状態を指す。

 研究チームは、この現象について徹底的に調査し、驚くべき発見をした。例えば、以下のような状況が挙げられる。

・慣れ親しんだ顔が突然見知らぬものに感じられる
・音楽家が馴染みの楽譜で道に迷う
・いつも通る場所が突然異質に感じられる

実験が明らかにした不思議な心理メカニズム

 研究チームは、大学生94名を対象に興味深い実験を行った。参加者に同じ単語を繰り返し書かせることで、ジャメヴ現象を引き起こそうとしたのである。

 驚くべきことに、約70%の参加者が単語の反復によって奇妙な感覚を経験した。特に、「the」のような一般的な単語を繰り返す際に顕著であった。参加者からは、「単語の意味が失われていく」「手の制御が難しくなる」といった興味深い報告があった。

 ジャメヴは、私たちの認知システムが過度に自動化し、硬直化することを防ぐ重要な信号である。単調な作業に没頭しすぎることなく、注意を柔軟に切り替えられるようにする、脳の「リセット機能」と言えるだろう。

 研究チームは、この現象がOCD(強迫性障害)の理解にも貢献する可能性があると示唆している。繰り返し行動が現実感を歪める仕組みを解明することで、新たな治療アプローチにつながる可能性がある。

 この研究は「イグ・ノーベル賞」を受賞した。笑いと思考の両方を刺激する科学研究として高く評価されたのである。私たちの脳の不思議は、まだまだ謎に満ちていることを、この研究は私たちに教えてくれる。

参考:ScienceAlert

関連キーワード:,

文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

深森慎太郎の記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

“デジャヴ”の反対「ジャメヴ」とは?さらに不思議な心理現象の秘密のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで