CIAが本気で開発した「動物スパイ部隊」成功と失敗の珍作戦集!

冷戦時代は「スパイ戦争」と呼んでも差し支えないほど、諜報活動が活発だった時代だ。CIAとそのソ連の対抗組織であるKGBは、鉄のカーテンの向こう側で何が起きているのかを探るため、常に新しい、そして巧妙な方法を編み出していた。
CIAが開発したスパイ技術の中には、実に独創的なものもあったが、一方で完全に突拍子もない計画も数多く存在した。例えば、フィデル・カストロをハゲさせようとしたり、超能力者を使って隠された財宝を発見しようとしたり…といった具合だ。そして時折、動物たちもその奇妙な陰謀に一役買うことになった。ここでは、CIAが何らかの形で動物を巻き込んだ風変わりなスパイ計画の6つの例を紹介しよう。
1. 伝書鳩カメラマン

秘密基地などの航空写真を入手できれば多くの情報が得られる。しかし、スパイ飛行機は発見されやすく、撃墜されれば国際問題に発展しかねない。そこでCIAは、訓練されたハトをカメラ運搬役として利用することを思いついた。
CIAの工作員は、小型カメラを装着した小さなハーネスをハトの胸に取り付け、調査したい地域の近くで放った。ハトが巣に戻る間にカメラが写真を撮影し、スパイ飛行機よりもずっと近距離からの画像を入手できたという。ハトが選ばれたのは、訓練が比較的容易で、どこにでもいるため怪しまれにくいからだ。…といっても1960年代の目立つカメラを胸につけていなければ、の話だが。面白いことに、このハト計画の一部は未だに機密扱いだが、機密解除された文書はCIAのウェブサイトで見ることができる。
2. 気まぐれな猫スパイ「アコースティキティ計画」

1964年、CIAは「アコースティキティ計画」という新プロジェクトを開始した。これは、通常の飼い猫にマイクを埋め込み、外国の諜報員を監視するというものだった。このプロジェクトは完全な失敗に終わった。しかし、その理由はあなたが想像するものとは少し違うかもしれない。
技術的には、「アコースティキティ計画」は成功だった。猫の耳に仕込まれたマイクと、皮膚に織り込まれた送信アンテナは完璧に機能し、手術も猫に害を与えるものではなかった。問題は猫そのものだったのだ。猫は規律正しい動物とは言えず、放たれると機密会話を盗み聞きするどころか、好きな場所にさまよい出てしまったのである。「アコースティキティ計画」はわずか3年後の1967年に正式に中止された。今思えば、CIAもこの結末を予見できたはずなのだが…。
3. ロボットナマズ「チャーリーとシャーリーン」

猫はダメだったが、ナマズならどうだろうか?信じられないかもしれないが、こちらははるかに大きな成功を収めた。「チャーリー」と「シャーリーン」と名付けられたこれらのナマズ型ロボットは、CIAの先端技術プログラム局によって作られた。
このコンビは動きに至るまで驚くほどナマズに似せて作られていた。無線操縦のこのロボットは、水中でこっそり動き回り、水路に投入された可能性のある毒物や放射能を監視するために水サンプルを収集することができた。ロボットが普通のナマズそっくりだったため、誰も疑うことはなかっただろう。残念ながら、このロボットのモデルとなったナマズが誰だったのかは分かっていない。
4. 風に弱いトンボ型ドローン「インセクトホプター計画」

CIAがロボットスパイに変えたのはナマズだけではない。トンボもその対象となった。「インセクトホプター計画」は、秘密の会話を盗み聞きするための盗聴器を運ぶ、小型の遠隔操作昆虫型ドローンを作ろうというものだった。
当初、ロボットはマルハナバチに似せる予定だったが、CIAはすぐにそれがまずい選択だと気づいた。マルハナバチは通常、予測不可能で不規則なパターンで飛ぶため、ホバリングしていると怪しまれる。さらに、ロボットバチが近づきすぎると、標的が刺されるのを恐れて叩き潰してしまう可能性もあった。
そこでCIAは、インセクトホプターをトンボ型にモデルチェンジした。偽の翼を羽ばたかせて飛ぶレーザー誘導式のこのロボットは、本物のトンボのようにホバリングし、60秒で200ヤード(約183メートル)を高速移動できた。…風がなければ、の話だが。わずかな横風でもこの機械仕掛けの虫は最寄りの壁に吹き飛ばされてしまうことが判明し、CIAは静かに「インセクトホプター計画」を中止した。
5. 虎のフンに化けた地震検知器

60年代から70年代にかけて、CIAはベトナム情勢に強い関心を寄せていた。この諜報機関は、鬱蒼としたジャングルでの敵兵士の動きを目立たないように監視する方法を開発するよう要請された。そのためにCIAが目をつけたのは、虎――正確には、そのフンだった。
CIAの科学者たちは、300ヤード(約274メートル)離れた場所から敵戦闘員の足音を監視できる超高感度の地震検知装置を開発した。しかし、この装置をジャングルで目立たなくするにはどうすればよいか?ベトナムには虎がいる。そこでCIAは、地震検知器を虎のフンに見せかけたのだ。まあ、効果はあったのだろうが、もっとありふれた動物を選べなかったのだろうか…。
6. ネズミの隠しポケット

最後に紹介するのは、おそらく最も気分の悪くなる動物関連スパイ道具だ。それは、文字通りのネズミである。CIAは諜報員が書類や現金などを人目に触れる場所に隠せる装置を作りたかった。他のスパイには明白で、しかし他の人にはまったくわからないほど都市環境に完全に溶け込む必要があった。
そこで登場したのがネズミだ。CIAは大量の死んだネズミを入手して剥製にし、腹部を切り開いてスパイが機密情報を詰め込めるポケットを作った。大都市では誰も死んだネズミに気にも留めないだろうし、もし気づいたとしても、本能的に近づかないだろうというのがCIAの考えだった。人間に対しては、それは見事に機能した――しかし、猫には通用しなかった。
野良猫たちは、労せずしてネズミにありつけるとあって、次々とおとりのネズミを盗んでいってしまったのだ。この状況は、CIAがネズミにニガヨモギ油を塗って猫にとって臭い匂いをつけるようになるまで続いたという。
これらの奇妙な計画は、冷戦時代の諜報活動がいかに奇抜で、時に滑稽ですらあったかを物語っている。ジェームズ・ボンドが使うような洗練された秘密兵器とは程遠いが、これらの動物スパイたちは、歴史の片隅で確かにその役割を担っていたのだ。
CIAの珍作戦に付き合わされた動物たち。彼らの知られざる「ミッション:インポッシブル」に、感謝と哀悼の意を表したい。
参考:Oddee、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊CIAが本気で開発した「動物スパイ部隊」成功と失敗の珍作戦集!のページです。CIA、スパイ、冷戦などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで