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※イメージ画像:『血別 山口組百年の孤独』サイゾー

 毎年10月末のハロウィーンに、神戸市灘区の山口組の総本部では、訪れてくる子どもたちに菓子を配っていた。だが、今年は、「諸般の事情により」行わないとのこと。

 山口組は日本最大の指定暴力団。8月下旬に、直系13団体の組長が離脱し、新たに神戸山口組を結成して、分裂した。すでにピストルの発砲があり、小競り合いも起きている。そうした抗争に子どもたちを巻き込んではいけない、という配慮からの、菓子プレゼントの中止だ。

 確かに過去の暴力団の分裂では、双方に死者が出て血で血を洗う抗争になった。また無関係な市民が巻き添えになったケースも数え切れないほどある。だが、警察庁は大規模な抗争には至らないだろう、という見方を示している。というのも、平成4年に施行された暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)によって、下部組員による犯行でも、組長の責任が問われるようになったためだ。分裂したどちらの組も、「抗争は厳禁」のお達しを出している。それでも、幹部が逮捕される事態になっているのが今回の騒動だ。

 さて、暴対法によって、これまでの暴力団の活動もしづらくなっている。暴力団に詳しい多くの識者は、抗争に発展するのではなく、暴力団の終息への転機となる分裂ではないかと見ている。

 当然のことながら、過去の暴力団による犯罪は枚挙にいとまがないが、今回はその中でも記憶に残る3事件を紹介しよう。

【CASE 1/手首ラーメン事件】

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※イメージ画像:『人肉ラーメン』

手首ラーメン事件」が起きたのは、昭和53年である。住吉連合金子会内部の抗争。組長代行の地位と屋台の縄張り争いで、組内の幹部が幹部を殺した、暴力団内ゲバ殺人である。

 同年7月5日、警視庁赤坂署に組幹部が殺人容疑で逮捕された。自供から、兵庫県赤穂郡と岡山県和気郡の山中から、頭、胴、脚などバラバラにされた遺体が見つかった。遺体の背中に彫られた天女の刺青から、殺された幹部の遺体であることが確認される。だが、手首だけが、どうしても見つからなかった。

 後日、取調官に追求されて、容疑者である幹部は自供した。

「手首を残しておくと指紋から身元が分かってしまうので、手首は子分らがやっている屋台ラーメンのダシに使い、煮え残った骨は金づちで砕いて捨てた」

 これが報道されたため、都内の屋台ラーメン屋の売り上げは激減した。当然のことながら、自分は「手首ラーメン」を食べてしまったのではないかと疑心暗鬼に駆られた、ラーメン好きの人々も多くいた。

 そんな世間の憂いに対して、組幹部は取調官に語った。

「屋久-荒川土手-西日暮里のコースを流したがチャルメラは吹かず、お客にも“ネタがないので”と断った」

 世間に配慮した供述だろう。赤坂署はこれを、そのまま発表した。だが、暴力団担当の警視庁捜査4課は、異なる見解を示した。

「だって午後5時から9時間も屋台を引いて、1杯も売らなかったという供述を信じろというほうがムリじゃありませんか」

 確かに、このほうが理屈に合っている。証拠隠滅なら、どこかで煮るなり焼くなりすればいいわけで、売るつもりもないラーメン屋台を引いて回る必要もない。

 だがこれは、世間への配慮を欠いた見解発表だった。捜査4課には、ラーメン屋台の関係者からの抗議が相次いだ。街では、チャルメラの音がするだけで、窓が閉じられるという事態に。酔っ払いから、「今日は手首入ってないの?」「今度は、尾頭付きでやってくれよ」などとからかわれて結局売れずという、さんざんな状態になったのだ。

 10月、容疑者を起訴する時に、東京地検は「手首ラーメンは売られなかった」という公式見解を発表した。

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