>  > 砂漠に佇む「鏡の家」 ー 景色と太陽の光で変化

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アナザー茂

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アート

 「鏡よ鏡……、世界で一番美しいのはだあれ?」、白雪姫でお馴染みの台詞だ。起源をたどれば水面に映る水鏡と言われ、今では生活や工業技術でも欠かすことの出来ない鏡。女性ならなおのこと手にしない日はないのではなかろうか。日常にありふれたモノゆえ、アート作品やトリックに使われることも多々あるわけえだが、この度、砂漠に鏡を使った摩訶不思議な家が登場したというのだ。ネタが分かっているのにそれでもなお、吸い込まれてしまう。

■宇宙人の基地が遂に完成?

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 カリフォルニア在住のアーティストであるフィリップ・スミスは、鏡とLEDライト、および特注の電子機器を使って建築とアートの融合作品を生み出した。LEDライトはコンピュータ制御によって様々な色を映し出し、その外見は宇宙人の基地さながらと言ってもいいほどである。彼は1からこの家を建てているのではなく、砂漠に残された廃屋を再利用しているのだ。およそ70年もの間、強い日差しにさらされた家々は木も剥がれ、ドアや窓も朽ち果てて何もしなければもう何年もすれば崩壊するであろう家をフィリップのアイディアによって蘇らせたのだ。

 彼の作った鏡の家は、周りの景色と太陽の光によって様々に変化する。元の廃屋だった部分と新しくはめ込んだ鏡の素晴らしいマッチングによって、実に素晴らしい景色を作り出している、まさに時を隔てた合作である。砂漠にポツンと存在していることもあいまいって、美しくもあり、どことなく儚ささえ感じる。

■砂漠との同化が作品の幕開け

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 ロワイヤルプロジェクトと名付けられたこの作品群はについてフィリップはこう語っている。「これは僕の光を使った『Lucid Stead』という作品をベースにしている。砂漠の静寂と日光によってゆっくりと変化する景色を体でもって感じて欲しいんだ。ゆっくりゆっくりと感じ、砂漠と同化した時はじめてこのプロジェクトは幕を開ける。光と影、反射光、様々な光によって」。70年前の木材と新しい鏡、日光とLEDライトというように、新旧がうまく砂漠の中でコラボすることで日常を超えた景色を作り出しているのだ。

 実はフィリップは、10年ほど前からこの5エーカーの土地を所有している。「年に数回は来て、砂漠の中で時間を過ごすことはあった。ぼんやりとは考えてはいたんだけど、8ヶ月前急に何かをしなければと思い立ったんだ。それですぐに自分の『Lucid Stead』と結びついて、それから具体的に何ができるのかと家の前に座って実際に図案化したんだ。9年間色々考えていたことがようやく、そう、何をすべきかってことが分かったんだ」、とフィリップは語っている。

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製作に入る前の状態
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 幸いにしてここはフィリップの土地であるため、今のところこの家を取り壊したりすることは考えていないという。古き良きものをうまく使い後世に残していく、そういう精神はビルドアンドスクラップで飽和している日本にとって見習わなくてはいけないことのように思える。 

■魔法の家の仕組みとその中は!?

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 こんな砂漠のど真ん中、LEDを使うにしても一体どうしているのであろうか。「僅かに電気は通っているものの、極力太陽光を使うようにしています。それはエコでもあるし、この作品のコンセプトからいっても重要なことなのです。ジェネレーターを使えばもっと効率的なのだけど、静かであること、これは欠かせませんね」とフィリップはこたえる。そして家の中には照明およびオーディオ機材をセットしてLEDの色の変化にあわせて色々変わるように設定されている。この家にフィリップが住んでいるわけではない。なので、遠隔的に操作できる仕組みが必要なのだ。

 もし要望があればより多くの効果を足すようなことも計画しているという。一見するとその見た目に惹きつけられてしまい中身を見失いがちだが、本物のアートというものはそのコンセプトもしっかりと軸ができているものだ。この70年前の家とのコラボ作品、その根底にあるステートメントは非常に真面目なテーゼなのだ。

 

Phillip K Smith III: Lucid Stead (Joshua Tree, California 2013) from royale projects on Vimeo.

(アナザー茂)

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