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――美術館などはどうでしたか?

サエボーグ「フィラデルフィア美術館をみたら、5時間かかってヘトヘトでした。意外にも、甲冑の展示コーナーがラバースーツの型紙を作る上でもいろいろと参考になりました。あと、バーンズ・コレクションが良かったです」


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フィラデルフィア美術館の甲冑コレクション


――大富豪アルバート・C・バーンズの個人コレクションですね。遺言では非公開のはずだったのに、現在では公開されています。

サエボーグ「バーンズ自身が、美学を学んで作品を選び、展示の並び順も決めているから独特で素晴らしかった。画家本人とも直接交流して、マティスやセザンヌの傑作をたくさん集めています。あと、アウトサイダーアートとして知られるマジック・ガーデンにも行きました。家の外壁や内装まですべてを鏡の小片で装飾していて太陽光線が当たるとキラキラと輝くんです」


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アウトサイダーアートとして知られるマジックガーデン


――NYマンハッタンはどうでしたか?

サエボーグ「とにかく、アメリカの車は格好いい。特に消防車のような働く車がどれも大きくてやる気マンマン、無骨でざっくりしてて、フェティッシュ心をくすぐられるんですよ」


――NYは地下鉄も駅の作りから無骨で、空調もダメだから下水の臭いが充満しています。でも、そういう荒々しい感じがNYという大都市に住むアーティストの作品の力強さにも影響しているんじゃないかな。


サエボーグ「アメリカ自然史博物館(https://www.amnh.org)も良かったです。原寸大のジオラマは展示の技術が凄かった。いろいろと勉強になりました。そして、NY郊外にある大きなアート作品を扱う美術館ディア・ビーコン Dia:Beacon(https://www.diaart.org)も行きました」

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アメリカ自然史博物館には原寸大のジオラマがたくさんある


――海外に行くにしても、観光だけの目的じゃなく、自分の展示もあって行ったから、物の見え方が違うんじゃないかな。

サエボーグ「そうですね。確かにアメリカでの展示オファーがあってから、意識が変わりました。海外からのオファーも積極的に受けて、視野を広げていこうという気分になりましたから。自分が何に影響されるかわからないし、自分が変わるかもしれない偶然が面白いんです」


――その成果は大ゴム祭の新作にも反映されている感じですか?

サエボーグ「新作自体はずっと作り続けてきたものだから。去年、大ゴム祭が一回休みになったのは、完全な新作を準備するためでした。あと、マンハッタンで見た巨大なゴミ袋には感動しました。死体袋みたいなゴミ袋がたくさん積み上がっていて、それがダーッと続いていて、まるでインスタレーションみたい。向こうで見たそのイメージは、今回の新作とも繋がると思います」

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画像は、豚や農婦のラバースーツ A/Dギャラリーでの個展『Bigpen』にて

――サエボーグさんのラバースーツの作品は、どれも風船みたいに空気でパンパンに膨らませて、独特な造型を作っています。そのことで人間が入っていることすら意識させないところがすごいんですよね。全く別の生き物みたいで。

サエボーグ「新作は家畜シリーズじゃないんです。豚はいません。Wastelandに住む、虫けらたちのお話です」


――今後のご活躍を応援しています。ありがとうございました!
(取材・文=ケロッピー前田)

※『デパートメントH 2099 第8回第ゴム祭』は、2018年5月5日に無事に開催され、溢れんばかりの観客を動員して大盛況となった。

【イベント情報】
『デパートメントH 2099』
日程:毎月第一土曜日
開場:24:00(オールナイト)
会場:鶯谷・東京キネマ倶楽部
問い合わせ:03-3874-7988 /http://www.kinema.jp
入場料:¥5000/ ¥4500フライヤー持参/ ¥3000ドレスコード ※IDチェックあり(写真付)20歳未満お断り
備考:飲食持込自由、会場内でアルコール類の販売はしておりません。
男女更衣室あり
情報サイト:https://ameblo.jp/department-h/

【サエボーグ、アメリカ・グループ展情報】
『Tag: Proposals on Queer Play and the Ways Forward』
会期:2018年2月2日 ~2018年8月12日
会場:ICA (Institute of Contemporary Art University of Pennsylvania)
住所:118 S. 36th Street Philadelphia, PA 19104-3289
問い合わせ:+1(215) 898-7108 / hello@ica.upenn.edu
公式サイト:http://icaphila.org

【プロフィール】
サエボーグ (さえぼーぐ) http://saeborg.com
アーティスト、美術家。女子美術大学芸術学部絵画学科卒、ラテックス製のスーツを自作、自ら装着するパフォーマンスを展開する。セクシャルマイノリティーを中心とした月例イベント「Department-H」のスタッフを長年務めている。2014年、第17回 岡本太郎現代芸術賞で岡本敏子賞受賞。主な個展に、六本木アートナイト参加展示「Pigpen」(六本木ヒルズ A/Dgallery、東京、2016)、「HISSS」(岡本太郎記念館、東京、2015)、「Slaughterhouse-13」(女子美ガラリアニケ、東京、2015)。企画展に、Mark Leckey「Containers and Their Drivers」(MOMA P.S.1、アメリカ・NY、2016)、「Re: 解体新書」(鞆の津ミュージアム、広島、2016)「のけものアニマル」(はじまりの美術館 、福島、2015)、日本財団アールブリュット合同企画展「TURN」(鞆の津ミュージアム、広島、2015)、「第17回岡本太郎現代芸術賞展」(岡本太郎美術館、神奈川、2014)など。


ケロッピー前田

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1965年、東京生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランスに。世界のアンダーグラウンドカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、ハッカー、現代アート、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。前田亮一『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)が話題に。新刊『クレイジートリップ』(三才ブックス)絶賛発売中!昨年は、TBS人気番組『クレイジージャーニー』でノルウェーのボディサスペンション世界大会を紹介し、過去の番組で反響の大きかった“極限の光景”ベスト10にて、第一位に選ばれている。
公式twitter:@keroppymaeda

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