【STAP細胞】捏造疑惑だけが問題ではなかった! 「ソーカル事件」からわかる、学問界の不備とは?

 その内容はというと、著名な学者達の言葉と数式や科学用語などを並べて「何やらスゴそうな」雰囲気を醸し出しただけで、まったく意味を成してはいなかった。大学生程度の知識があれば、一見してデタラメだと判断できるものだったという。ソーカル教授は、わざとそのような論文を学術誌に投稿することによって、審査する側(他の学者や編集者たち)がデタラメ論文を見抜くことができるか試したのだ。結果このデタラメ論文は、何事もなく審査をパスして学術誌に掲載されてしまった。

 哲学者たちが数式や科学用語をどこまで理解しているのかはともかく、それらを権威付けのように濫用する風潮に疑問を抱いていたソーカル教授は、後に当時の学者たちの姿勢を批判する著書を出版。世界の学問界(とりわけフランス思想界)は大きく揺るがされ、その後さまざまな議論が巻き起こることとなった。かくして彼の試みは、見事に学問界が抱える審査の不備や、権威へのへつらい独善的姿勢といった闇に光を当てたのだった。ちなみに、ソーカル教授の論文を掲載してしまった編集者には、イグノーベル賞が授与されている。

 このような過去の事件を見ると、「STAP細胞」問題においては、研究結果を審査する側にも何らかの不備や怠慢があったのではないかと感じざるを得ない。我が国の科学技術は世界一であってほしいと心から願う筆者にとって、今回の問題が、実は「ソーカル事件」のようなオチであってほしい……と思いたくなるほど、関係者たちには不利な材料が出尽くしているような印象も受ける。いずれにしても研究ユニットリーダー自らが公の場で説明しなければ、誰一人として納得する者はいないだろう。
(スポンジ保父)

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