訓練で愛情深い人間になれる!? SF映画『ブレードランナー』の装置が現実に!
■人と共感した体験は思い出す度に強まる
研究では、人間の共感能力を司る部位を探し当てるために、25人の被験者に感情に働きかける質問をしながら脳をスキャンした。
それぞれの被験者はこれまでの人生の中で他人との共感を引き起こした印象的な思い出を問われ、各々の記憶を呼び覚ましたという。
そして、ジョージ・モル教授はこれらの被験者たちの感情が及ぼす脳活動のパターンをコンピュータを使って特定した。
このテスト通じて、それぞれの被験者たちはスキャンした映像の上に脳の活動を示すぼやけたイメージを見せていたが、共感した体験の感情を保持してコントロールすることにうまく成功すればするほど、スキャン映像のイメージは明瞭になったということだ。
この研究から、モル教授は、人間は感情を自分から呼び起こすことで、脳の特定部位の活動を強めることができるのだという結論に辿り着き、研究論文を科学誌「PLoS ONE」に発表した。
「この研究は、人間は優しさや愛情を自ら大きく育むことができることを示し、一方で社会参加意識の向上や、反社会的行為への対策にも応用し得るものです」(同論文より)
モル教授はさらなる研究が必要だとしながらも、社会への適応を難しくしている自閉症などのパーソナリティ障害や発達障害の治療に貢献できる可能性があることを強く示唆している。
また、いわゆるサイコパス(精神病質者)は他人との共感能力が欠けているといわれているが、今回の研究を足がかりにして、次は一般人とサイコパスの脳の違いを調べる研究に取り組むということだ。
果たして訓練によって本当に愛情深い人間になれるのかどうか、今後の研究を待たなくてはならないが、かつて友人たちと感動を共にしたかけがえのない体験は、思い出すたびに人を幸福にするだろう。そんな貴重な体験をひとつでも多く味わえる人生を送りたいものである。
(文=仲田しんじ)
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