致死率90%、史上最悪のエボラ出血熱 ― 医師たちの命がけの奮闘
西アフリカで現在、過去最悪規模に拡大しているエボラウイルス。その死亡者はすでに600人を超え、感染者は1,200人を超える状況である。
エボラ出血熱の致死率は90%と高く、非常に危険なウイルスのため世界的にも懸念が広がっている。猛威を振るうウイルス感染は海を隔てている我々にも決して他人事ではない。そんな中、「Daily Mail」(7月30日付)が最前線で闘う医師を取材している。
■エボラウイルスと闘う「国境なき医師団」
現地の医療関係者は、消防用の特殊防護服(放射性物質漏れや化学兵器などから身を守る特注のもの)に身を包み、救護にあたっている。
もちろん、これを着ていると汗が大量に噴き出すほど暑い。しかし、イギリス出身のハンナ・スペンサー医師(27)は「これこそがウイルスから身を守ってくれる唯一の方法」だと言う。
スペンサー医師は国境なき医師団の一員として、現在ギニアとリベリアに派遣されている。自身の感染の危険や恐怖と戦いながら、水面下で必死に治療を続ける医師達の知られざる努力を伝えてくれた。
通常、エボラウイルスは感染者の体液や血液から感染する(空気感染はしない)。感染を防ぐ為、医療キャンプでは塩素でブーツをスプレーするなど、複数の汚染除去方法が取られ細心の注意が払われている。
また、治療の前に医師達はまず厚いゴム製のブーツで膝までカバーし、不浸透性の防護服、手袋、フェイスマスク、頭を覆うフードにゴーグルと続く。体の一部分でも一切露出してはならないのだ。
何枚も重ねた格好は動きがかなり制限され、中が非常に暑くなるため、感染者の治療にあたるわずか2時間の間に5リットルもの汗をかくほどだという。
「汗を大量にかくので、水分が欠乏します。体温が上がり非常に危険な状態で、我々自身の耐久力との戦いです」と現地の医師は語る。
ちなみに、現地での医療活動は精神的・肉体的に過酷を極めるため、4~6週間までと定められている。
スペンサー医師は、「正直に言うと精神的にもかなり参っています。来る前もとても不安でしたし。でも来た以上はやらないと。目の前には患者が待っているのですから」と語ってくれた。
国境なき医師団は、エボラ出血熱の治療にあたって厳格なルールを定めており、医師達も治療の際、患者に経口薬は与えて良いが、注射は不可などと指導している。患者が退院した後も、再発などもしもの場合に備えてスタッフは病院からすぐ近くに留まっていなければならない。
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