動物が引き起こした“世界史に残る大惨事”10選

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 歴史は偉大な指導者や緻密な戦略によって作られる――そう教えられてきた。しかし、完璧に計算された人間のシステムが、動物たちの「全く悪気のない行動」によって一瞬で崩壊することがある。

 一羽の鳥、一匹のサル、あるいは目に見えない寄生虫を運ぶネズミたち。彼らに悪意や陰謀はない。ただ本能のままに行動した結果、飛行機が落ち、都市が燃え、国家の電力がストップするという、誰も予想できなかった大惨事を引き起こしてしまったのだ。

 今回は、「動物が偶然引き起こした歴史的災害」10選を紹介する。完璧なシステムなど、この世界には存在しないのだと思い知らされるはずだ。

1. ハドソン川の奇跡(2009年・アメリカ)

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Greg L – originally posted to Flickr as Plane crash into Hudson River, CC 表示 2.0, リンクによる

 2009年1月15日、ニューヨークのラガーディア空港を飛び立ったUSエアウェイズ1549便が、離陸直後に「カナダガンの群れ」に突っ込んだ。両エンジンが鳥を吸い込んで完全に停止し、機体は高度約900メートルでただのグライダーと化してしまった。

 機長チェズレイ・“サリー”・サレンバーガー氏の神業的な操縦により、ハドソン川への不時着水に成功。乗客乗員155名全員が生還したため「奇跡」として語り継がれているが、一歩間違えればニューヨークの中心部に旅客機が墜落するという大惨事になっていたかもしれない。

2. 旅客機を海に墜落させた「ハチ」(1996年・ドミニカ共和国)

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simon butler – https://www.flickr.com/photos/antonov22/16403678665/, CC 表示 2.0, リンクによる

 ハドソン川の奇跡とは対照的に、悲劇的な結末を迎えたのがバージェンエア301便だ。

 1996年、ドミニカ共和国で数日間駐機していたボーイング757が、離陸直後に速度計の異常を示し、パイロットがパニックに陥った末に大西洋へ墜落。乗客乗員189名全員が死亡した。

 その後の調査で、機体の速度を測るセンサー「ピトー管」が塞がれていたことが判明した。事故原因として最も有力視されているのが、駐機中に「ドロバチ」という小さなハチがこの管の中に巣を作ってしまったという仮説だ。

 爆発もテロもなく、ハチが作った泥の塊が、巨大なジェット機を墜落させる決定的な引き金になった可能性が高いのだ。人間の作り上げた精密機械が、自然界の小さな侵入者にいかに脆いかを物語る戦慄の事件である。

3. シカゴ大火と「濡れ衣を着せられた牛」(1871年・アメリカ)

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John R. Chapin, died 1907 – From [1]. Originally from Harper’s Weekly., パブリック・ドメイン, リンクによる

 1871年、シカゴの街を焼き尽くし、約10万人をホームレスにした「シカゴ大火」。この火災の原因として1世紀以上語り継がれてきたのが、「オレアリー夫人の牛がランタンを蹴り倒した」という伝説だ。

 しかし、現代の歴史家たちはこの話を「ジャーナリストが作った作り話(でっち上げ)」だと結論づけている。とはいえ、人々が「一匹のドジな牛のせいだ」という話を信じたがったという事実は、巨大すぎる災害に対する人間の心理的防衛機制(誰かのせいにしたい)を如実に表している。

4. 人類の歴史を変えた「黒死病のネズミ」(1300年代・ヨーロッパ)

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Image by Simon from Pixabay

 災害は常に派手な音を立ててやってくるわけではない。14世紀、ヨーロッパの人口の3分の1を死に至らしめた「黒死病(ペスト)」。その運び屋となったのは、交易船に乗って世界中を旅した「クマネズミ」と、その血を吸う「ノミ」だった。

 彼らはただ暖かくてエサのある場所を探していただけだが、結果として7500万人から2億人とも言われる人間が命を落とし、経済や社会構造が根底から覆された。動物が引き起こした災害としては、歴史上最悪の規模である。

5. 原子力発電所を止めた「クラゲの大群」(2011年・スコットランド)

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トーネス原子力発電所(画像:Asterion / CC BY-SA 2.5

 骨も脳みそもないクラゲが、数億円規模の原子力施設をシャットダウンさせた。

 スコットランドのトーネス原子力発電所で、原子炉を冷やすための海水の取り入れ口に、信じられないほどの数のクラゲが押し寄せたのだ。フィルターは瞬く間にゼリー状の体で詰まり、メルトダウンを防ぐために原子炉を緊急停止せざるを得なくなった。同様の事件は日本やフランス、スウェーデンなどでも起きており、原発の意外な弱点として問題視されている。

6. ケニア全土を停電させた「一匹のサル」(2016年・ケニア)

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Image by Paul Sprengers from Pixabay

 国家の電力網は、嵐やテロには耐えられても「好奇心旺盛なサル」には耐えられなかった。

 ケニアのギタル水力発電所に一匹のサルが侵入し、重要な変圧器の上に落下(または接触)してしまった。これが引き金となって設備がショートし、連鎖的に発電所がダウン。結果としてケニア全土が大規模なブラックアウト(大停電)に陥った。サル一匹で国が機能不全に陥るとは、人間のインフラがいかに脆いかを物語っている。

7. 東アフリカを食い尽くした「サバクトビバッタ」(2020年・東アフリカ)

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By IwoelbernOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

 一匹ならただの虫だが、数十億匹集まれば「災害」になる。

 2020年、異常気象による大雨で異常繁殖したサバクトビバッタの大群が、東アフリカから中東にかけての農地を覆い尽くした。一つの群れが1日に消費する食料は、数千万人分の食料に匹敵する。作物は一夜にして消え失せ、深刻な食糧危機(飢饉)を引き起こした。彼らに悪意はない。ただ、風に乗って飛んできて食べただけなのだ。

8. オーストラリアの農業を崩壊させた「ウサギ」(1859年〜・オーストラリア)

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画像はUnsplashFidel Fernandoより

 1859年、狩猟の標的としてイギリスから持ち込まれた24匹のウサギ。これがオーストラリア大陸にとって、史上最悪の「バイオテロ」となった。

 天敵のいない環境でウサギは爆発的に繁殖し、数億匹にまで膨れ上がった。彼らは草の根まで食い尽くし、農地は砂漠化、固有種の動物たちは絶滅の危機に瀕した。オーストラリア政府は現在に至るまで、ウイルスを撒いたり万里の長城のようなフェンスを作ったりと、ウサギとの果てしない戦争を続けている。

9. 列車を脱線させた「ゾウの群れ」(インド)

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Image by Christine Sponchia from Pixabay

 インド東部のジャングルを走る旅客列車が、突如として急ブレーキをかけた。線路の上に、野生のゾウの群れが立っていたのだ。

 巨大な鉄の塊である列車でも、ゾウの群れに突っ込めば無事では済まない。衝突により列車は脱線し、乗客にも多数の負傷者が出た。悲しいことにゾウたちも命を落としている。開発によって野生動物の移動ルートが分断された結果起きる、人間と動物の悲しき交通事故は、現在もインドで深刻な問題となっている。

10. 飛行機を墜落させた「白鳥」(1962年・アメリカ)

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aceebee from Camberley, UK – N7429 Vickers 745D Viscount United Airlines, CC 表示-継承 2.0, リンクによる

 1962年11月、ユナイテッド航空297便が高度約1800メートルを飛行中、一羽の鳥と正面衝突した。

 その鳥はただの小鳥ではなく、翼を広げると2メートルにもなる「ナキハクチョウ」だった。この巨大な鳥が機体の水平尾翼に激突し、重要なパーツを破壊。コントロールを失った機体は墜落し、乗客乗員17名全員が死亡した。この悲劇的な事故をきっかけに、航空機メーカーは鳥の衝突(バードストライク)を想定したテストを厳格に行うようになった。

 我々人間は、自然をコントロールしていると錯覚しがちだ。しかし、ハチの巣一つ、サル一匹が、我々のハイテク社会をいとも簡単に機能不全に陥れてしまう。

 もしあなたの家のWi-Fiが突然切れたり、電車が止まったりしたら……それはサイバーテロではなく、どこかのネズミがケーブルをかじっているだけかもしれない。

参考:Listverse、ほか

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