都市伝説「メルの穴(Mel’s Hole)」とは? 深さ2万4000メートルの底なし穴と死んだ犬が生き返る謎

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「底なしの穴」——オカルトやホラー映画の定番とも言えるこのシチュエーションが、アメリカのラジオ番組で語られたことをきっかけに、現在でもネット上で語り継がれる伝説の都市伝説となった。

 1997年2月21日、超常現象をテーマにした人気ラジオ番組『Coast to Coast AM』に、「メル・ウォーターズ」と名乗る男から1本の電話がかかってきた。彼が語った「自宅の敷地にある奇妙な穴」の物語は、瞬く間に全米を魅了し、そして混乱に陥れることになる。

釣り糸が2万4000メートルも吸い込まれる「底なしのゴミ捨て場」

 メル・ウォーターズによれば、彼はワシントン州エレンズバーグから約14キロメートル(9マイル)離れた場所に住んでおり、その敷地内に「奇妙な特性を持つ穴」があったという。

 地元の住民たちは、その穴を都合のいいゴミ捨て場として使っていた。「どれだけ大量のゴミを放り込んでも、その穴がいっぱいになることは決してなかった」とメルは語った。

 普通の人間なら、そんな異常な穴を見つけたら科学者や大学に連絡するだろう。しかし、メルは好奇心から「この穴がどれくらい深いのか」を自分で確かめることにした。彼は釣り糸の先に重りをつけ、穴の中へと垂らし始めたのである。

「いつものように犬たちを連れて行ったんですが、犬たちは絶対にその穴の近くには行こうとしませんでした」と彼は番組で語った。「リードで無理やり引っ張ろうとしても、足を踏ん張って抵抗するんです。穴には絶対に近づきたがりませんでした」

 そして最も衝撃的なのは、穴の深さだ。メルはなんと、釣り糸を2万4000メートルも垂らしたが、それでも底には届かなかったと主張したのだ。

物理的・地質学的に「絶対にあり得ない」穴

 このどう見ても胡散臭い話にマジレスするのは野暮かもしれないが、科学的なツッコミを入れざるを得ないポイントがいくつもある。

 まず第一に、深海釣りで使われる最も長い釣り糸でもせいぜい500メートル程度だ。彼が48本もの釣り糸を几帳面に結び合わせない限り、2万4000メートルも垂らすことは物理的に不可能である。

 第二に、もしそれが本当なら、この穴は「地球上で最も深い穴」ということになる。人類が実際に掘った最も深い穴は、ロシア北西部のコラ半島にある「コラ半島超深海掘削坑」だ。1970年からソ連崩壊直後まで、国家の威信をかけて掘り進められたこのプロジェクトでさえ、到達した深さは1万2263メートルだった。国家の巨大プロジェクトの倍の深さの穴が、ワシントン州の田舎にポツンと開いていて、住民のゴミを黙々と食べていたなんて、到底信じられる話ではない。

 ワシントン州天然資源局の地質学者、ジャック・パウエル氏も「地質学的にも物理学的にも、それほど深い穴が存在することは不可能です」と一蹴している。「周囲の地層からの途方もない圧力と熱によって、穴は自らの重みで崩落してしまうからです」

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あるRedditユーザーがメルの穴を発見したと主張するワシントン州の場所 画像は「Googleマップ」より

錬金術、過去のラジオ放送、そして「蘇った犬」

 メルの話は、穴の深さだけにとどまらなかった。穴の入り口の近くにラジオを置くと、なぜか「何年も前の音楽や番組」が流れてきたり、金属を近づけると別の物質に変化する(錬金術の穴?)と主張した。さらに、穴から「黒い光線」が発射されているのを見たという証言まで飛び出した。

 極めつけは、犬に関する気味の悪いエピソードだ。

 メルの話によれば、ある地元の住人が死んだ愛犬をこの底なしの穴に投げ捨てたという(そもそも死んだペットをゴミと一緒に捨てる神経が恐ろしいが)。すると数ヶ月後、その犬がなぜか「生きた姿で」町に戻ってきたというのだ。ただし、元の飼い主にはまったく興味を示さなかったらしい。

 スティーブン・キングのホラー小説『ペット・セメタリー』を彷彿とさせるこのエピソードは、都市伝説としては最高のスパイスだが、当然ながらこれを裏付ける証拠は何一つない。

I Think I Found Mel’s Hole 30 Years Later!
by u/FNCS_HERRO in mystery

(Redditでは穴を見つけたという投稿もあったが…)

メルはどこへ消えたのか? 穴を探す人々

 ラジオ出演後、メル・ウォーターズの物語はさらに陰謀論じみていく。彼は「政府に土地を没収され、オーストラリアへ強制移住させられた」と主張し、その後、完全に姿を消してしまったのだ。

 もちろん、この伝説の「メルの穴(Mel’s Hole)」を探そうとする人々は後を絶たない。ネット上の地図(Google Earthなど)で不自然な黒い影を見つけては「ここがメルの穴だ!」と騒ぐ者もいれば、実際に2002年にワシントン州の現地まで探索に向かったグループもいた(当然、穴は見つからなかった)。

 さらに、ジャーナリストたちが徹底的に調査した結果、「メル・ウォーターズ」という人物がその町に住んでいた記録も、土地を所有していた記録も一切見つからなかった。

 すべては一人の男がラジオで語った、見事なフェイク・ストーリーだったのだ。それとも……彼に関するすべての公的記録も、あの「底なしの穴」の中に投げ捨てられてしまったのだろうか。

参考:IFLScience、ほか

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