1990年代の有名な陰謀論・都市伝説10選! ファービーのスパイ疑惑や、Windows「Wingdings」の呪いとは?

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 1990年代は、陰謀論にとって非常に奇妙で、そして特別な時代だった。冷戦が終結し、テレビでは『X-ファイル』が大ヒット。人々はダイヤルアップ接続でインターネットという未知の海に漕ぎ出し、チャットルームには世界中から集まった多種多様な都市伝説が花開いた。

 テクノロジーへの漠然とした不安と、世紀末の空気が入り混じったこの時代。当時の人々が本気で信じ、そして今なおネットの片隅で語り継がれている「90年代のヤバすぎる陰謀論」を10個ご紹介しよう。

1. マイクロソフトの隠しメッセージ「Wingdingsの呪い」

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画像は、「DEVIANT ART」より

 1992年にリリースされた「Windows 3.1」には、「Wingdings」という記号フォントが搭載されていた。一見ただの飾り文字だが、ある日ネット上で「このフォントには恐ろしいメッセージが隠されている」という噂が爆発的に広まった。

「NYC(ニューヨーク市)」と入力してWingdingsに変換すると、「ドクロ」「ダビデの星(ユダヤ教のシンボル)」「親指を立てたマーク」が並ぶというのだ。これが「マイクロソフト内部の反ユダヤ主義者が、ニューヨークのユダヤ人コミュニティの破壊を賛美している」と解釈され、大パニックに。最終的にマイクロソフトが公式に否定する事態となった。

 ちなみに9.11のテロ事件後にも、「Q33NY(テロ機の便名とされたデマ)」と打ち込むと「飛行機・ビル・ドクロ・ダビデの星」になるとして再びこの陰謀論が再燃した。もちろんすべては偶然の産物だが、人間がいかに「無意味なものからパターン(陰謀)を見つけ出したがるか」を示す典型的な例である。

2. 1998年W杯決勝、ロナウドの「謎の体調不良」とナイキの陰謀

 1998年のサッカーW杯決勝(ブラジル対フランス)。試合直前、ブラジルの絶対的エースであるロナウドがホテルで痙攣を起こし、スタメンから外された。しかし、キックオフ直前になって彼は突如ピッチに現れた。明らかに体調不良の彼が機能するはずもなく、ブラジルは0-3で惨敗した。

 この不可解な出場劇に対し、「ブラジルのスポンサーであったナイキが、莫大な広告投資を守るために、病気のロナウドを無理やり出場させた」という陰謀論が噴出。さらに「フランスの工作員が昼食に毒を入れた」という説まで飛び交い、ブラジル政府が調査に乗り出すほどの国際的スキャンダルとなった。ナイキは関与を一貫して否定している。

3. ペンタゴンを震え上がらせた「ファービー」のスパイ疑惑

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 1998年のクリスマス、世界中の子供たちが熱狂したおしゃべりロボット「ファービー」。最初は独自の「ファービー語」しか話さないが、遊んでいるうちに人間の言葉(英語など)を「学習」して話すようになるという画期的なおもちゃだった。

 しかし、この「学習機能」が政府機関で大真面目なパニックを引き起こした。「ファービーには隠しマイクが内蔵されており、国家機密を録音して外部に送信しているのではないか?」というのだ。

 実際にはただプログラムされた音声を再生しているだけだったが、1999年には米国家安全保障局(NSA)などの政府施設への「ファービー持ち込み禁止令」が正式に発令された。

4. 火星の地下に作られた「エリート専用の温室」

 90年代半ば、『X-ファイル』ブームに乗って、あるイギリスのテレビ番組を録画したVHSテープがUFOマニアたちの間で出回った。『第3の選択(Alternative 3)』というその番組は、「地球温暖化で2000年までに人類は滅亡する。そのため、米ソの政府は極秘に手を組み、選ばれたエリート層だけを逃がすための地下パラダイスを火星に建設している」という内容だった。

 実はこれ、1977年のエイプリルフールに放送された「フェイクドキュメンタリー」だったのだが、SNSで真偽を確かめる術がなかった当時の人々はこれを丸呑みした。NASAが公開した火星の写真の地形を「地下基地の換気口だ!」と主張する者まで現れ、冷戦パラノイアの産物として今も語り継がれている。

5. HAARPの「マインドコントロール電波」

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Michael Kleiman, US Air Force – http://science.dodlive.mil/2010/02/23/haarps-antenna-array-the-kitchen-in-the-sky/, パブリック・ドメイン, リンクによる

 1995年、アラスカの荒野に米軍の巨大なアンテナ群「HAARP(高周波活性オーロラ調査プログラム)」が建設された。表向きは大気圏上層の研究施設だが、陰謀論者たちはこれを「気象兵器」だと断定。さらに「HAARPは人間の脳波と一致する超低周波を放射し、国民の感情(鬱、疲労、攻撃性)を自在にコントロールしている」というマインドコントロール説まで飛び出した。もちろん科学的には不可能だが、HAARPは今でも最強の「陰謀論ホイホイ」として君臨し続けている。

6. ソニック3の音楽はマイケル・ジャクソンが作った?(※これは本当だった)

 1994年に発売されたゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ3』。そのBGMの一部が、マイケル・ジャクソンの楽曲に酷似しているとファンの間で話題になった。「1993年のマイケルのスキャンダルを恐れたセガが彼の名前をクレジットから消したが、楽曲だけは密かに残した」という陰謀論が囁かれたのだ。

 長年セガはこれを否定し続けてきたが、後年になってマイケルと彼のチームが実際に楽曲制作に参加していたことが関係者の証言で判明した。「陰謀論が実は本当だった」という、ゲーム史に残るレアな事例である。

7. Y2Kバグを利用した「詐欺師の土地ビジネス」

 1999年の終わり、世界中は「Y2K(2000年問題)」のパニックに包まれていた。コンピューターが西暦の「00」を認識できず、世界中のシステムがダウンするという問題だ。

 陰謀論者たちは、「これは世界の銀行や通信を同時に崩壊させ、政府が戒厳令を敷いて市民の財産を没収するためのエリートの計画だ」と騒ぎ立てた。

 このパニックに目をつけたのが詐欺師たちだ。彼らはアメリカのアイダホやモンタナの山奥の何もない土地を「Y2Kの崩壊から逃れるための絶対安全な避難所」として高値で売り捌いた。結果としてシステム崩壊は起きず、パニックに踊らされた人々には「ボッタクリ価格の山林」だけが残された。

8. フェニックスの光は「ブルービーム計画」のテストだった?

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想像図  パブリック・ドメイン, リンクによる

 1997年3月、アリゾナ州フェニックスの上空に巨大なV字型の光の編隊が現れ、数千人が目撃する有名なUFO事件「フェニックスの光」が起きた。

 多くの人がエイリアンの来訪を信じたが、別の界隈は「これは『ブルービーム計画』のテストだ」と主張した。ブルービーム計画とは、「政府が巨大な3Dホログラムを空に投影し、偽のエイリアン侵略(あるいはキリストの再臨)を演出して、人々を心理的に洗脳し『新世界秩序(ニューワールドオーダー)』を樹立する」という陰謀論だ。一応米軍は後に「あれは訓練用の照明弾だ」と発表したが、ブルービーム計画の噂は今もネットの奥深くで生き続けている。

9. ヘール・ボップ彗星の悲劇「隠されたUFO」

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E. Kolmhofer, H. Raab; Johannes-Kepler-Observatory, Linz, Austria (https://sternwarte.at) – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 1996年、あるアマチュア天文学者がヘール・ボップ彗星の写真を撮影し、「彗星のすぐ隣に謎の物体(UFO)が伴走している」と深夜のラジオで語った。実際には機材のエラーによるただの星の光だったのだが、UFOコミュニティは「NASAが巨大な宇宙船の存在を隠蔽している!」と大騒ぎになった。

 この噂は、カルト教団「ヘブンズ・ゲート」の信者たちに悲劇をもたらした。「彗星の裏に隠れた宇宙船が我々を救済しに来る」と信じ込んだ彼らは、1997年3月、39名が揃って集団自殺を遂げた。些細な勘違いと陰謀論が、現実世界で最悪の結末を引き起こした恐ろしい事件である。

10. バーコード=「獣の数字(666)」パニック

 90年代後半、バーコード(JANコード等)に聖書の黙示録に登場する「獣の数字(666)」が隠されているという噂が、チェーンメールを通じて爆発的に広まった。

 バーコードの最初、真ん中、最後にある「3本のガードバー」が、数字の「6」を表すバーと同じ形をしているため、「6・6・6」になるというのだ。世紀末の不安も相まって、「いずれ現金がなくなり、すべての人がバーコードやマイクロチップを体に埋め込まれ、それを拒否すれば買い物もできなくなる」というディストピア的な予言へと発展した。

 実際には、ガードバーはスキャナーの読み取り開始と終了を示すただの基準線であり、数字の6とは全く関係がない。しかし、この「キャッシュレス社会の監視不安」を煽る陰謀論は、形を変えながら現在でもSNSで語り継がれている。



 インターネットの黎明期、人々はまだ情報の海を泳ぐ術を知らず、数々の不気味な陰謀論に踊らされた。しかし、スマホでいつでも真偽が確認できるようになった現代でも、私たちはSNSのタイムラインに流れてくる「もっともらしい嘘」に簡単に騙されている。90年代の陰謀論を笑っている私たちも、未来の人間から見れば「あんなAIのフェイク画像を本気で信じていたのか」と笑われる運命にあるのかもしれない。

参考:Listverse、ほか

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