“完璧な状態”の「9,300年前のバイソンのミイラ」! 研究結果が明らかに=シベリア
まるでまだ生きているかのような躍動感溢れる姿――。
2011年、シベリア北部の湖の岸辺で、現代のバイソン(バッファロー)の祖先である「ステップバイソン」がほぼ完璧なミイラの形で発見された。発見者は、この近くで暮らす「ユカギール部族」であったことから、このミイラは「ユカギールバイソン」と名付けられた。
過去にもステップバイソンのミイラは何体か発見されているものの、いずれも損傷が激しく、「ユカギールバイソン」のように脳、心臓、消化器官や血管が完璧な状態で残されていたのは、非常に珍しいケースだったため、当初から注目を集めていたが、11月6日、ついに研究結果が公表された。
詳細な調査レポートは今後「Journal of Vertebrate Paleontogy」(脊椎動物の古生物学専門誌)に発表される予定だが、 古代の哺乳動物が良好な保存状態で発見されることは極めて稀であるため、国内外の専門家の注目を集めている。
■9,300年前のステップバイソン
ステップバイソンは古代のヨーロッパ、中央アジア、北米の草原地帯に生息していたと考えられている。
今回の調査にはロシア科学アカデミー・モスクワ古生物学学会の研究者を含むロシアの科学者たちが参加して進められた。研究はコンピューターを駆使し、まずCTスキャンで脳の断層撮影が行われた。同様に、数カ月間かけて他の各臓器や器官のデータを集め、現代のアメリカンバイソンのサンプルと比較検証した。
その結果、この「ユカギールバイソン」は、だいたい4歳ほどで死亡しており、腹部の脂肪の少なさから、死因はおそらく飢餓によるものだということがわかった。さらに、他の巨体の哺乳類と同様に、ステップバイソンはおよそ1万1千年前、氷河期の最後に絶滅したと考えられていたが、体の器官の中からミトコンドリアのDNAを摘出したところ、およそ9,300年程前のものと判明したという。
今後、「ユカギールバイソン」の体の各器官は、組織学の標本サンプルとして研究に役に立つと期待されており、さらに、解剖学、生理学、遺伝学的見地から、バイソンの生息環境や行動スタイルをより深く探求し、ひいては種が絶滅した原因を突き止めることができるのではないかと注目を集めている。今後のさらなる解明を待ちたい。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「Live Science」ほか
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