ホビット? ダウン症? 身長1m、高度な知能を持った1万7千年前の人骨の謎!
インドネシアのフローレス島で出土した骨は、我々と同じ人類か、あるいはホビットと呼ばれる新種の人類か、古い人骨をめぐり、「新人類説派」と「そうでない派」の論争合戦がくりひろげられている。
今から10年前の2004年10月インドネシアのフローレス島に1万7000年前に生息していた「ホモ・フロレシエンシス(俗称:ホビット)」という「新種の人類」の発見が古人類学者グループによって発表された。
身長は1mほどしかなく、脳は現代人の3分の1の大きさしかないことから320万年前の我々の祖先・ルーシー(アウストラロピテクスの一種)と同様に原始的な人類だとされた。映画に登場するホビットに似ていることから、ホモ・フロレシエンシスというよりもむしろ「ホビット」の愛称で呼ばれることが多い。
しかし、調査の結果、ホビットとされた骨は、我々ホモ・サピエンスのものであることがわかっのだ。高度な石器を用い、火をあやつり、大型の獣を狩る、高度の知性をもった人類だ。発見されている骨は、我々と同じホモ・サピエンスでありつつ、病気を持った個体で、新種ではないという。
その骨をめぐって、「新人類説(ホビット)派」と「そうでない(ヒト)派」論争が続いているのだ。
その「そうでない(ヒト)派」説から、最近新たな説が出た。南オーストラリアのアデレード大学のマシージ・ハンネベルク氏は「Proceedings of the National Academy of Sciences USA」誌に記事を投稿し、「発掘された、完全に近い形のスカル『LB1』という個体はダウン症候群の特徴を示している」と述べたのだ。
というのも、頭蓋骨の周囲の短さを含め、ダウン症候群のいくつかの特徴と一致しているからだという。ちなみにダウン症候群は、本来2本ペアであるはずの染色体の一部が3本になって身体に奇形・障害を生じる病気だ。
それに対し、ホビットを支持する「新人類説」チームは、ダウン症候群説を真っ向から否定する。ストーニーブルック大学のウィリアム・ジャンガー氏によると、過去にも現代にも、LB1に匹敵するほど小さい頭蓋骨のダウン症候群の例はないという。また顔面中央の出っ張りや分厚い頭蓋といったLB1の特徴をもったダウン症候群の例もないという。
つまり、両者の主張をまとめるとこうだ。
●マシージ・ハンネベルク氏の主張(そうでない(ヒト)派):
1. LB1というこの発掘現場でもっとも完全に近い個体は、ダウン症候群だった。頭蓋骨の周囲の長さが短いことなど、ダウン症候群の特徴を示しているからだ。
●ウィリアム・ジャンガー氏の主張(新人類説(ホビット)派):
1. LB1に匹敵するほど頭蓋骨の周囲が小さなダウン症候群の例はない。
2. LB1に見られる顔面中央の出っ張りや分厚い頭蓋といった特徴をもったダウン症候群の事例も無い。
また、たとえLB1個体が、ダウン症候群でなかったとしても、何らかの病気を抱えていた可能性は残る。インディアナ大学ブルーミングストン校で脳の進化を研究している生物学人類学者のトーマス・ショーンマン氏は次のように述べている。
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