撮影:酒井透、小田部あけみ
かつて軍艦島で産出されていた石炭は、新日鐵八幡工場などに運ばれて、鉄を作るための原料炭となった。そこで作られた鉄は、日本の戦後復興と高度経済成長を支えてきた。今の日本を考えるとき、軍艦島は、スルーすることができないところなのだ。
今回の記事は、長崎市の整備計画案を踏まえて写真を構成してみた。どこも観光上陸では行くことのできない場所となっているが、“軍艦島って廃墟の島でしょ!”的な目線で見るのではなく、これほどまでに荒れ果ててしまったことに目を向けてほしい。
1974年(昭和49年)の閉山から41年間、軍艦島に残されていた建築物は、完全に放置されていた。もう少し早く、整備されるなどしていれば、劣化は押さえられていたかも知れない。また、この場所には、元・島民の思いというものが詰め込まれている。今後は、この計画案が具体的なものとなり、整備が進んでいくことを願いながら、この短期連載を終わりたいと思う。
(撮影=酒井透、小田部あけみ)
■酒井透(さかい・とおる)
写真家。秘境探検家。1985年から5年間、写真週刊誌『FOCUS』(新潮社)専属カメラマン。著書に『中国B級スポットおもしろ大全』(新潮社)、『未来世紀 軍艦島』、『軍艦島に行く』(笠倉出版)などがある。
・http://toru-sakai.wix.com/afrobeat
【酒井氏がおすすめの軍艦島入門書】
・『廃墟賛歌 軍艦島 DVD BOOK』(宝島社DVD BOOKシリーズ)
・『軍艦島 離島40年 人びとの記憶とこれから』(実業之日本社)
・『軍艦島――廃墟からのメッセージ』(亜紀書房)
・『軍艦島 住み方の記憶』(NPO軍艦島を世界遺産にする会)
・『軍艦島入門 』(実業之日本社)
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。