「私たちの悲しみは誰にもわからない」息子の遺体を6年間冷蔵庫で保存した男=中国
不気味なことなのか、それとも哀れな物語なのか。60歳になる、中国重慶市の黄陵村に住むティアン・シュエミンさんは、病気で亡くなった息子の亡骸を埋葬することができず、自宅の冷凍庫に6年間も保存していたことがわかった。
■遂に手に入れた幸せな家庭だったが…
重慶市の片田舎で、親族6世帯とともに泥でつくられたみすぼらしい家に住んでいたシュエミンさんは、1979年に結婚し、それを機により良い生活環境を目指し、都市部への出稼ぎ稼業に励んでいた。大工としての腕がよかった彼は、その後収入が増え、生活も安定していった。
1982年に長女を、1987年には長男を授かり、家族と過ごす時間を増やすために出稼ぎをやめ、生まれ育った村に戻り、村一番の3階建ての新居を構えるほどになった。シュエミンさんにとって、家族と過ごす幸せな時がやってきたのだ。
しかし、幸せな時は長くは続かなかった。ある暑い夏の日、長女が街へ買い物に出かけた。1時間半ほどで長女は戻ってきたが顔色が悪い。彼女は、心配ないと言っていたが、1時間後に裏庭で倒れていたところを見つけられた。もう、息もかすかで医者が到着したときにはすでに手遅れだった。彼女はそのまま息を引き取った。
残されたシュエミンさんは、悲しみと、顔色の悪かった娘を気遣えなかった悔しさに押しつぶされそうにもなったが、時間がそれをゆっくりと癒やしていった。しかし9年後、娘を失った喪失感から、少しずつ立ち直り始めたとき、第2の悲劇がシュエミンさんを襲った。
■現実を受け入れることができず…
ある日、前の年に大学へ入学した長男から「風邪が1カ月も治らない」という電話があった。実家へ戻った息子を病院へ連れて行くと、末期の白血病で手の施しようがないとの診断。その年の7月に、シュエミンさんは息子まで失うことになった。
10年間のうちに、娘と息子を失ったシュエミンさんは、その現実を受け入れることができず、息子の遺体を埋葬することができなくなってしまった。彼は、妻を説得し彼を自分のそばに置いておくことに決めた。シュエミンさんは、地元メディアにこう言っている。
「その日の夜に、冷凍庫を空にし、息子の亡骸を入れた。そして6年間が過ぎた」
喪失感に耐えきれなくなると、冷凍庫の中の息子に話しかけたという。シュエミンさんは、決して自分たちのしていることが正しいことであると思っているわけではなく、自分のしていることが近隣に悪い影響を与えていることも理解している。しかし、「私たちの悲しみを誰もわかってくれることはない」と、部屋の隅のある冷凍庫の中の息子に話しかけるのであった。
(文=高夏五道)
参考:「Oddity Central」、「Daily Mail」ほか
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