多くの犠牲者が出る? 「エコノミスト2016」表紙が予言する本当の未来とは? ジャーナリスト宇田川敬介が徹底解説!
■表紙/国際政治の主役たち
・メルケルが中心の理由
メルケル首相が中央に配置された理由は、紛れもなく、EUの今後に対して強力な決定力を有しているからだ。ギリシア問題など、EUに属するさまざまな国家の財政は、経済大国であるドイツから受ける影響が最も大きい。さらに、シリアの難民受け入れ問題でも、各国への分配に際してメルケルの意向が重視される。さらに、ドイツ情報部はチェチェン共和国と関係が深いこともあり、ロシアの膨張主義に対する抑止力もドイツが一翼を担っていることは間違いない。つまりドイツは、EUを動かし、ロシアやイスラム圏にも影響を及ぼすことが可能なのだ。この力は、フランスのオランド大統領やイギリスのキャメロン首相とは比べ物にならない。
・オバマ、ヒラリー、モディの位置関係
同様に、もはやレームダックと化したオバマ大統領よりもヒラリー・クリントンの方が重要であるし、また中国の覇権主義に対するのは、インドのモディ首相ということになる。そしてモディ首相は、脱石油・脱温室効果ガス及び地球温暖化問題を含む環境問題COP21でも非常に大きな役割を果たすことになる。
・FRBが政治を左右する
一方、イエレンFRB議長が「政治」に含まれることに疑問をお持ちの方もいるのではないか。実際、日本で黒田日銀総裁が「政治」の主役の1人といえば違和感を持つ人もいるだろうし、小泉元首相や森元首相が「経済」の主役といっても、ピンとこない。しかし、これは少し深く国際事情に通じていれば簡単に納得できるものだ。まず、イエレン議長にしてみれば米国の来年度予算や国債発行額などに関しての決断が、米国の政治、しいては米軍の世界に対する影響力を決めることになる。まさに「予算」が「政治」を縛るということだ。日本でいえば、財務省主計局や財務事務次官が政治的な発言を行うということとあまり変わらない。特に、オバマ大統領の国際的影響力の背景となる経済力、そして経済力を中心にした資源争奪戦にも、FRBの決断がひとつの契機となることは指摘するまでもないことである。
■「国際経済の主役」たち
・ビル・クリントンは米経済の中心か?
次に右側、国際経済の主役たちを見てみよう。
ビル・クリントン元大統領は、なぜ経済の中央にいるのか? これは、「裏経済」と言うと語弊があるかもしれないが、“アメリカ大統領選挙の資金管理の主役”こそ彼であるということを意味している。
ヒラリー・クリントンが、来年11月8日に行われる次期アメリカ大統領選挙の最有力候補であることはご存じの通りである。しかし、その大統領選挙の資金とは一体いくらかかるのか。まず民主党の候補者を統一するための予備選挙を行い、その後で共和党との間で投票が行われる。応援団を動員し、全米を遊説、さらにインターネットやテレビ、新聞などに広告を掲載する。その内容を考えれば、日本の選挙よりもはるかに多額な費用が必要となることは明確だ。そして、あらゆる献金の募集とその差配を、ヒラリー・クリントンの最も信頼できる人物に任せなければならない。その人物こそがビル・クリントンなのである。来年の大統領選挙と、その後の経済政策を左右するという意味において、まさにアメリカ経済の中心は彼であるといっても過言ではないだろう。
このように『2016世界はこうなる』の原画は、「政治」と「経済」を軸にして人物が配列され、世界に対する影響力の順に前から並んでいるのだ。
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