多くの犠牲者が出る? 「エコノミスト2016」表紙が予言する本当の未来とは? ジャーナリスト宇田川敬介が徹底解説!
■人物たちがカラーとモノクロに分かれている理由
次に気になるのは、前述の「政治」や「経済」の主役たちが、カラーとモノクロに分かれている点だ。色がついているのは「政治」側ではプーチン、習近平、ローマ法王、マリーヌ・ルペン(フランス国民戦線党首)、マララさん(ノーベル平和賞受賞者)、ティム・バーナーズ=リー(WWW考案者)、クリスティーヌ・ラガルド(IMF専務理事)、フェデリカ・モゲレーニ(EU外交安全保障政策上級代表)、そして「経済」側ではビル・クリントンなどである。
さて、「政治」側でマララさん以下に挙げたのは、実は『2016世界はこうなる』にインタビューが掲載されている人物である。そのため、「経済」側では名前の列記も略させていただいた。要するにカラーにした人物は、来年の「台風の目」となる人々ということだ。では、本書にインタビューが掲載されていない人物たちは、どのような観点から「台風の目」と判断できるのか?
・習近平とプーチン
習近平に関して言えば、中国の「南シナ海埋め立て」や「尖閣諸島問題」で東アジア地区の台風の目となっていることは間違いない。その台風の目を、ヒラリーとオバマ、そして安倍晋三が抑え込んでいる形だ。
一方、プーチンに関しては「ウクライナ問題」や「シリア内戦」など、南下政策と旧ソ連復活に向けた拡大主義によって台風の目となっている。これをイギリスのキャメロン首相とインドのモディ首相が抑えるという構図だ。そしてさらに深読みするならば、この両方にメルケル首相が関与するという感じだろうか。
・ローマ法王
ほとんど日本では騒がれていないが、ローマ法王に関しては、イギリス・ロシアなどカトリック以外の国々を含む全ヨーロッパの混乱のみならず、アフリカ情勢に対してもその指導力を発揮することができると考えられており、平和を訴える力がまだまだ足りていないのではないかという意見も噴出しているようだ。
・マリーヌ・ルペン
そしてフランスの極右政党を率いるルペン党首は、イスラム系難民の問題でオランド大統領の政策に真っ向から反対し、国民的な支持を得ている。原子力発電で電力を供給しているドイツがEUにおいて指導的立場となり、フランスが中心から外されているのみならず、パリの爆破テロをはじめとしたイスラムとの対立で実際に大きな被害を受けている中で、国民から新たな指導者として脚光を浴びているのだ。ルペン党首の動きによっては、ヨーロッパでシェンゲン協定(欧州国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定)もなくなり、各国が一気にナショナリズムに傾くのではないかともいわれている。彼女も台風の目であることに相違ないだろう。
これら「台風の目」たちは、いずれも世界に大きな影響を与える主張を繰り広げている人物であり、また、その手段がかなり強引に行われているという点も見逃せない。さらに、各々が内部に“爆弾”を抱えているということも共通点だ。習近平は反習近平派の長老やウイグル族、ロシアはチェチェン独立運動、ローマ法王は同性愛問題や枢機卿の不正、ルペン党首は統一地方選まで勝利を収めていない点やEUとの関連ということになる。そして、これらの矛盾を覆い隠すため、彼らはより過激に、より先進的に動くため、なおさら「台風の目」としての存在が際立つのである。
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2024.10.02 20:00心霊多くの犠牲者が出る? 「エコノミスト2016」表紙が予言する本当の未来とは? ジャーナリスト宇田川敬介が徹底解説!のページです。宇田川敬介、2016、エコノミストなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで