155年前のネズミ捕りにつかまって死んだ世界一残念なネズミ! 不運を称えて剥製化の予定も

 作物を食い荒らし、病原体を媒介する衛生害獣として古くから忌み嫌われていたネズミだが、世界のあらゆる場所に生息し、そのすさまじい繁殖力で現在もその害獣ぶりを遺憾なく発揮している。そんな嫌われものだが、イギリスのある一匹の不運なネズミについて2月4日付の英紙「Daily Mail」が報じている。


■不運にも程がある!! こんな場所でこんな罠にかかったネズミ

 イギリス南東部、バークシャー州にあるレディング大学内の「Museum of English Rural Life」は田園の暮らしや農業にまつわる2万2千点の展示物を所有している小ぢんまりとした博物館だ。展示品の中には200年前の物もあり、観光スポットとして多くの人に愛されている場所である。

155年前のネズミ捕りにつかまって死んだ世界一残念なネズミ! 不運を称えて剥製化の予定もの画像1「どうだ! まだまだ現役!」という声が聞こえてきそうである 画像は「Above Science」より

 ある朝、博物館に出勤した職員がメールを確認すると「展示品ではないネズミ捕り器に、ネズミがかかって死んでいる」と困惑気味の助手からメールが届いていたのだ。

 それもそのはず、職員たちが見たものはヴィクトリア女王がイギリスを統治していた時代(1837-1901年)に作られたネズミ捕りにかかったネズミの死体だったのだ。しかもそのネズミ捕り器は、展示されていたわけではなく、保管場所のガラスケース内の棚に収納されており、オトリとなる餌もなく、ただホコリにまみれていたのだという。

 セキュリティ完備の館内と職員たちの目をすり抜け、重いドアをものともせず、ネズミが好んでかじりそうな布地やその他の展示品には目もくれずにガラスケースをよじ登ってたどり着いたのは、天敵であるはずのネズミ捕り器だったのだ。

■性能は半永久的!? 155年後に証明されたその凄すぎる仕組み

 この不運なネズミを捕らえたのはイギリスのコリン・プリンガー社が1859年から1861年の間に販売していたネズミ捕り器だ。ネズミ捕り器といえば、板の上にバネの仕掛けがついた物を思い浮かべるかもしれないが、このコリン・プリンジャー社製は一度に複数のネズミを捕まえることができ「繰り返し半永久的に使える」が売り言葉だったようだ。

 細長い箱の中にシーソー原理を利用した細長い板を仕掛け、ネズミが箱に入った所で入り口が閉まるという仕組みだ。また一度入ると入り口へは戻れないため、そのまま複数のネズミを捕まえることが可能なのである。

 博物館の職員のブログには「ネズミの死体は保管してあるが、埋葬しようか剥製にしてネズミ捕りと共に展示しようか決めかねています。決まったら皆さんにお伝えします」と書かれていたが、現時点では新しくできる展示コーナーにネズミ捕り器と共にお目見えする予定なのだそうだ。

 今回のこのニュースで、コリン・プリンガー社製と同じタイプのネズミ捕り器に注目が集まっている。155年の時を経てもなおネズミを捕るその執念は、ネズミに悩まされる人々に希望を与えたようだ。罠にかかってしまったネズミには申し訳ないが、ネズミ捕り器の宣伝に大きく貢献した立役者として博物館を賑わせてほしいものである。
(清水ミロ)


参考:「Daily Mail」、「IFL Science」、「レディング大学」、ほか

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