「IT」のモデルになった伝説の強姦道化師ジョン・ウェイン・ゲイシー。少年拷問記録もつけていた
――犯罪者の絵画や手紙など、どこかで販売あるいは取引されているものなのでしょうか?
田口「海外の刑務所では、日本に比べて、囚人たちの表現の自由や通信の自由が認められていると聞きます。実際、ジョン・ウェイン・ゲイシーは自ら注文リストまで制作して販売をしていたそうです。アーサー・ショークロスは、ネットオークションebayで自作の絵画作品を販売して多額の利益を得ていたことが問題となり、ebay側が新たな規約を作って、彼の作品販売を禁止したケースとHN氏にお聞きしました。今回展示する作品については、HN氏がコレクター同士の取引や、直接本人や親族などにコンタクトを取り、蒐集してきたものであるとのことです」
女装好きのカニバリスト、オーティス・トゥール
――海外では、犯罪者の絵画作品についても、アール・ブリュット(あるいはアウトサイダー・アート)としての評価や解釈が行われているように思います。今回の展示作品に対する芸術的な評価についてはどうお考えですか?
田口「芸術的な評価については、はっきりいって、稚拙な表現が多いと思われるかもしれません。しかし、それを上回る負の力には圧倒されます。私たちの日常とは全く異なる次元、何か違う世界を見てしまった人間の凄みといえばいいでしょうか。とにかく、作品の持つ凄まじい熱量はぜひ体感してみてくださいとしかいいようがありません」